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第12章 桜ハウスへようこそ
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「出かけてるんじゃないかなぁ」
「そう?」
チラリと離れの方を見ると、待子は微笑んで言う。
「いつもはね、あの離れの方で、お風呂を借りてるの」
と、待子は指差した。
「ふーん」
待子の指の指し示す方を見ると、佐伯さんは歩いて行こうとする。
「今はまだ、開いてないわよ」
即座に手を伸ばし、佐伯さんを引き留める。
すぐ隣の家なのに…
案外こうしてオープンになると、かえって入るのには気が引けるものらしい…
さすがに留守宅に入り込むのは、フェアじゃない…
残念なのだけど、
「出直そうか」と言っていると、
カラカラ…と母屋の玄関の引き戸が開く音が聞こえた。
「あら、いらっしゃい!」
突然ひょこっと顔をのぞかせると、その人は待子と佐伯さんに
目をとめて、立ち止まった。
「あっ」
まさか人が出てくるとは思わなかったので、待子は立ちすくむ。
「どうしたの?何か用?」
家から出てきたのは、大家さんではなくて、サラさんだった。
「なんで?」
思わずつぶやくと、
「この人・・・大家さん?」
目をまん丸くして、佐伯さんは待子にささやく。
サラさんはニコリと笑って、佐伯さんを見ていると、
「おばさんに何か用?
今ねぇ、手が離せないんだけど…」
申し訳なさそうにサラさんが言うと、
「何か急用?」
うかがうようにして、待子に聞いた。
「あっ」
待子は思わず、佐伯さんを振り返った。
「そう?」
チラリと離れの方を見ると、待子は微笑んで言う。
「いつもはね、あの離れの方で、お風呂を借りてるの」
と、待子は指差した。
「ふーん」
待子の指の指し示す方を見ると、佐伯さんは歩いて行こうとする。
「今はまだ、開いてないわよ」
即座に手を伸ばし、佐伯さんを引き留める。
すぐ隣の家なのに…
案外こうしてオープンになると、かえって入るのには気が引けるものらしい…
さすがに留守宅に入り込むのは、フェアじゃない…
残念なのだけど、
「出直そうか」と言っていると、
カラカラ…と母屋の玄関の引き戸が開く音が聞こえた。
「あら、いらっしゃい!」
突然ひょこっと顔をのぞかせると、その人は待子と佐伯さんに
目をとめて、立ち止まった。
「あっ」
まさか人が出てくるとは思わなかったので、待子は立ちすくむ。
「どうしたの?何か用?」
家から出てきたのは、大家さんではなくて、サラさんだった。
「なんで?」
思わずつぶやくと、
「この人・・・大家さん?」
目をまん丸くして、佐伯さんは待子にささやく。
サラさんはニコリと笑って、佐伯さんを見ていると、
「おばさんに何か用?
今ねぇ、手が離せないんだけど…」
申し訳なさそうにサラさんが言うと、
「何か急用?」
うかがうようにして、待子に聞いた。
「あっ」
待子は思わず、佐伯さんを振り返った。
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