桜ハウスへいらっしゃい！

第１１章 新しい仲間たち

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　　１年生は基本的に、一般教養がメインで、専門教科に分かれるのは、
２年生からだ。
だから今は、学科の違う杏子とも、同じ授業を選択することが出来る。
そうしたところが、高校とはまた違う、自由な雰囲気で、
和気あいあいとしているのが、待子にとっては驚きだった。
（やっぱり大学生って、大人だなぁ）
初めての自由な暮らしに、待子は驚くことばかりだ。
高校と違って、年齢の違う人もいるし、校則のような、キツイしばりもないし、
遠くから来る人もいる。
（浪人した人とか、留年した人とか、単位を落として再履修の先輩もいるのだ）
こういう雰囲気は、今までには経験したことがないので、
何だかひどく、自分が子供っぽく感じられて…なんだか恥ずかしくなる。
違うクラスであっても、同じ授業を受ける人も案外いて、
たとえ名前も知らない同級生であっても、親しみを感じるのだ。

「ねぇ、あなた…次の授業、取ってる？」
　いきなり前の席で、本を開いていた女の子が、クルリと待子を
振り向いて、聞く。
「えっ」
待子は、どうリアクションしたらいいのかわからなくて、言葉に詰まると、
「あっ、それ…私　取ってます」
とっさのことなので、同い年なのに、ついつい尊敬語で返してしまう…
クスクスとその人が笑うと、
「よかった！なら、席を取っといてくれない？
　私、ちょっと用事があって、ギリギリになりそうなの」
確かに顏見知り…とはいっても、今まで口を聞いたこともない相手だ…
「えっ」と戸惑う待子に向かってニッコリ笑うと、
「よろしく～授業終わりに、出席簿が回るまでには、戻れると思うから」と言うと、
「これ、よかったらどうぞ」
ワイロなのか、お礼なのか…まだ手をつけてはいない、ヨーグルトのカップを
差し出した…