桜ハウスへいらっしゃい！

第１１章 新しい仲間たち

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（ホント、不思議だなぁ）と思うけれども、たまにはこういうのも
いいか…とも思う。

「相沢さんと一緒のアパート？」
　杏子は生来の人懐っこさを駆使して、すでにクラスでも目立つ存在なのだ。
私とは大違い、と待子は思う。
神田さんは、そんな待子の様子までも、ジィっと見つめている。
「まさか！私はそんな…しゃれたアパートではなくて、オンボロな
　下宿屋よ」と笑う
「今時下宿屋なんて…時代錯誤なのかしらねぇ」
「錯誤なんて…レトロで味があるんじゃないですか？」
「ま、珍しいかもねぇ」
そう言いつつも、神田さんの方を見ると、特にガッカリする様子もなく、
思ったよりも好意的な態度だ。
「いいな！私も1人暮らししてみたいな」
羨ましそうにそう言うと、おもむろに目の前の弁当の包みの
結び目をゆっくりとほどいていった。


「ね、杏子もおいでよ！
　うちの下宿人に、会わせてあげるからさぁ」
　待子は力のこもった口調で、杏子を誘う。
「うーん、そうだなぁ」
　なぜだか端切れの悪い返事だ。
　この日も変わりなく、バイトをしていると、お客さんが引けた頃に
杏子が顔をのぞかせた。
「おや、いらっしゃい」
　カウンター越しに、マスターはにこやかに声をかける。
それでも遠慮して、カウンターの誰もいない隅っこでに腰をかけると、
「マスター！遠慮なく待子を、こき使って下さいね」
笑いながら、そう言うと…じきにお客さんの姿がまばらになって来た。
　ペーパーナフキンを折りたたみ。補充しながら、
「キョーコは？バイトはないの？」と笑いながら話しかけた。