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第11章  新しい仲間たち

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  何しろ杏子とは違って、待子には生活がかかっている。
仕送り増額が見込めない今、自分で稼ぐしか道はないのだ…
「せめて…教習所が終わってからではダメ?」
そう聞くと…「うーん」と杏子は考え込み、
「効率よく 単位が取れて、そのすき間に教習所とサークルを
 入れればいいんでしょ?」
 しょせんは他人事なのか、考えてみるわ!と嬉しそうに杏子が
付け加えて言う。

 一応文学部だけれど、専門課程のカリキュラムは2年生からだ。
本当言うと、待子が大学を選ぶにあたって、
「せめて教職だけでも、取っておきなさい」というのが交換条件だった。
となると、そちらの方の単位を落とすわけにもいかない。
「杏子、教職は?」と聞くと、
杏子もやはり、同じようなことをお母さんに言われたのか、
「ウチはねぇ~せめて資格だけは取りなさいと言われた」
待子も渋い顔になる。
「ホントいうと…教師になるつもりはないんだけどねぇ」
ボソリと言うので、
「じゃあ、何になるの?」
そう聞くと
「まだ…決めてない」
なぜだかあっさりと言う。
「今はまだ、将来のことを考えている人って、あんまりいないと
 思うわよ、私の周りでは…」
 杏子は待子の顏をのぞき込むようにして言う。

 新学期はまだ、始まったばかりだ。
でも何だか、かなり忙しくなりそうだ…と思う。
自転車を押しながら歩くと…まもなく校門が見えて来た。
小さいけれど、地元ではソコソコ名の通った大学だ。
本当にここの学生になれたんだ…と思うと、もともと
一人暮らしが目的で、受験した待子ではあったのだが、それも何だか
誇らしい気持ちになるのだった。

 
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