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第10章 思いがけない味方登場
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あ~、聞いていたんだぁ
待子はなぜだか慌てる。
マスターは珍しく待子の方を見ると、
「うーん、うちはさほど儲かっていないし…
今の所は、バイトは募集してないんだけどなぁ」
ぼやくように言うと、1人で何やらブツブツとつぶやいている。
「マスターは、いつもお1人ですよね?」
急に杏子は向き直ると、彼に向かって話しかける。
「あぁ、まぁそうだが…」
何を言われるかと、若干緊張気味の表情を浮かべる。
「彼女…この近くの桜ハウスという下宿屋さんに住んでいるんですけど、
彼女のお母さんが、とても厳しい人で、仕送りがほとんど出来ない、
と言われているんですよね」
若干話を盛っている気がするが、マスターがこちらを向くので、
これ幸いと、杏子はマスターにアピールし始めた。
彼は杏子の話にうなづきつつも、
「それは気の毒だなぁ」そう言うと、
「まぁ確かに…最近1人は厳しいとは、思っていたんだ」
思いがけなく、好感触の答えが返ってくる。
「まぁね、最近は…サラが手伝ってくれるから、なんとか回っているのだが」
と言うと、店内をグルリと見回した。
「サラさんって?」
早速杏子が、こちらを見る。
「あの女の人よ!
この前、ピアノを弾いていた…」
そう言うと、やはり印象的だったのか、
「あぁ~」とうなづいた。
「あの素敵な人ね!」
「確か、大家さんの姪だ、って聞いたけど」
と言うので、不意に思い出して、待子は言った。
待子はなぜだか慌てる。
マスターは珍しく待子の方を見ると、
「うーん、うちはさほど儲かっていないし…
今の所は、バイトは募集してないんだけどなぁ」
ぼやくように言うと、1人で何やらブツブツとつぶやいている。
「マスターは、いつもお1人ですよね?」
急に杏子は向き直ると、彼に向かって話しかける。
「あぁ、まぁそうだが…」
何を言われるかと、若干緊張気味の表情を浮かべる。
「彼女…この近くの桜ハウスという下宿屋さんに住んでいるんですけど、
彼女のお母さんが、とても厳しい人で、仕送りがほとんど出来ない、
と言われているんですよね」
若干話を盛っている気がするが、マスターがこちらを向くので、
これ幸いと、杏子はマスターにアピールし始めた。
彼は杏子の話にうなづきつつも、
「それは気の毒だなぁ」そう言うと、
「まぁ確かに…最近1人は厳しいとは、思っていたんだ」
思いがけなく、好感触の答えが返ってくる。
「まぁね、最近は…サラが手伝ってくれるから、なんとか回っているのだが」
と言うと、店内をグルリと見回した。
「サラさんって?」
早速杏子が、こちらを見る。
「あの女の人よ!
この前、ピアノを弾いていた…」
そう言うと、やはり印象的だったのか、
「あぁ~」とうなづいた。
「あの素敵な人ね!」
「確か、大家さんの姪だ、って聞いたけど」
と言うので、不意に思い出して、待子は言った。
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