209 / 428
第9章 ネクストミッション!
16
しおりを挟む
なんだかクマガイさんって、案外いい人そう…
それが待子の抱いた印象だ。
「でも…ひよりちゃんが来たら、どうするの?」
素朴な疑問を口にする。
するとクマガイさんは、鷹揚な顔で手を大きく広げると、
「心配しなくていいよ!ボクは…他にも行くトコあるから、
気にしないでいいよ」
にこやかな顔つきで、力こぶを作ってみせた。
暗くてどこかカビ臭い階段を上って行くと、3階の踊り場に
なぜか大きな矢印がある。
「あ、ここ、ここ!」
楽しそうに、クマガイさんが言うと、
「この矢印のトコだよ」
その表示を指差してみせた。
確かに壁沿いに、やけに目立つ赤い矢印が、ポツンポツンと
見えている。
なんの矢印?と思うけれど、クマガイさんは全く気にならないようで、
「うち…時々お客さんが来る時にね、もれなくみんなが聞くから…
わかりやすいようにと、矢印をつけたんだ」と言う。
本当にそれでわかったのか、と気になるけれど、
「それなら…1階にも、つければいいのに」
思わずポロリと待子は言う。
すると「あっ」とクマガイさんは振り向くと、
「そう言われれば、そうだね」
今さら気付いたような顔つきで、大きくうなづいた。
そんなので、大丈夫なのか、と思うけれども、
それまで黙ってもくもくと、ミカン箱を運んでいたサラさんが
クルリと振り向くと
「ホント、そうよねぇ~
この人、どこか1本、ネジが外れた感じなのよねぇ」
楽しそうにそう言う。
この2人、仲良さそうだなぁ~と、待子はふと気付く。
どんな関係?と思うけど、中々聞き出せない。
それに…サラさんのような、素敵な人だったら、
もっとカッコいい人が、いるかも…と思い、あわてて疑問を飲み込む。
すると、その様子を見ていたサラさんと、なぜか目が合った。
それが待子の抱いた印象だ。
「でも…ひよりちゃんが来たら、どうするの?」
素朴な疑問を口にする。
するとクマガイさんは、鷹揚な顔で手を大きく広げると、
「心配しなくていいよ!ボクは…他にも行くトコあるから、
気にしないでいいよ」
にこやかな顔つきで、力こぶを作ってみせた。
暗くてどこかカビ臭い階段を上って行くと、3階の踊り場に
なぜか大きな矢印がある。
「あ、ここ、ここ!」
楽しそうに、クマガイさんが言うと、
「この矢印のトコだよ」
その表示を指差してみせた。
確かに壁沿いに、やけに目立つ赤い矢印が、ポツンポツンと
見えている。
なんの矢印?と思うけれど、クマガイさんは全く気にならないようで、
「うち…時々お客さんが来る時にね、もれなくみんなが聞くから…
わかりやすいようにと、矢印をつけたんだ」と言う。
本当にそれでわかったのか、と気になるけれど、
「それなら…1階にも、つければいいのに」
思わずポロリと待子は言う。
すると「あっ」とクマガイさんは振り向くと、
「そう言われれば、そうだね」
今さら気付いたような顔つきで、大きくうなづいた。
そんなので、大丈夫なのか、と思うけれども、
それまで黙ってもくもくと、ミカン箱を運んでいたサラさんが
クルリと振り向くと
「ホント、そうよねぇ~
この人、どこか1本、ネジが外れた感じなのよねぇ」
楽しそうにそう言う。
この2人、仲良さそうだなぁ~と、待子はふと気付く。
どんな関係?と思うけど、中々聞き出せない。
それに…サラさんのような、素敵な人だったら、
もっとカッコいい人が、いるかも…と思い、あわてて疑問を飲み込む。
すると、その様子を見ていたサラさんと、なぜか目が合った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
(続)人斬り少女は逃がさない
tukumo
ライト文芸
短編小説
人斬り少女は逃がさない
なんとも中途半端で続きを書きたくなったので数話連続小説として帰ってきた
あ、作者の気まぐれで投稿頻度は早かったり遅かったりするのはご愛嬌ということで良ければ緩利と読んでみて下さいまし~by tukumo
青空サークル
箕田 はる
ライト文芸
学校生活も家庭でも上手くいかない星は、幽霊くんというあだ名通りに本物になろうと思い立ち、屋上へと向かう。
だけどそこには、先客の姿が。
今は絶滅危惧種となった一昔前のギャルなーこと、見るからに昔気質な眼鏡君との出会いによって、青空サークルなるものが結成されることに。
幽霊である二人との楽しい一時を送る一方で、自分の卒業も間近に迫りつつあって――
白薔薇園の憂鬱
岡智 みみか
ライト文芸
おじいちゃんの作品を取り戻せ! 大好きだったマイナー芸術家のおじいちゃんの作品は、全て生活費のために父に売られてしまった。独りになった今、幸せだったあの頃を取り戻したい。
女男の世界
キョウキョウ
ライト文芸
仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。
再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。
男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。
彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。
※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
猫と幼なじみ
鏡野ゆう
ライト文芸
まこっちゃんこと真琴と、家族と猫、そして幼なじみの修ちゃんとの日常。
ここに登場する幼なじみの修ちゃんは『帝国海軍の猫大佐』に登場する藤原三佐で、こちらのお話は三佐の若いころのお話となります。藤原三佐は『俺の彼女は中の人』『貴方と二人で臨む海』にもゲストとして登場しています。
※小説家になろうでも公開中※
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる