桜ハウスへいらっしゃい！

第９章 ネクストミッション！

１

　　あれよあれよという間に、ひよりちゃんの避難場所探しが
始まった。
あまりの展開の速さに、ついていけない、ひよりちゃんと待子
なのだが…
「こういうのは、先手先手で勢いで動かないとね！」と
急にイキイキとするサラさんだ。
ただのピアノ弾きかと思いきや、大家さんの姪で、今度は
ひよりちゃん親子の救済者？
何者なんだ、この人は…と思うけれど、その間も
手際よくちゃっちゃと、どこかに電話して、1人で話をドンドン
進めているようだ。

　それから数分後…
「大丈夫、OKよ！」
にこやかな顔で、ひよりちゃんに告げる。
「こういう時はね、木の枝は森に隠せ、方式で…雑踏に紛れ込むと
　案外　うまくいくものよ」
何やら思いついたようで、楽しそうに言った。
「そう？それならひよりちゃんのことは、お願いしようかしら？」
予想外の対応の速さに、大家さんは気をよくしたらしく、
まさかのサラさんに、丸投げするつもりのようだ。
えっ、という顔をして、大家さんを見ると、
「大丈夫、部屋はそのまま残しておくから…荷物は大切に
　預かっておくわ」
あっさりと大家さんは、ひよりちゃんに言った。
　もちろんその間の郵便とか、荷物とか…大家さんが引き受けて
くれることになった。
「それならなるべく、荷物は最小限にして…身軽にした方がいいわね。
　さっさと取り掛かりましょ！」
　キリッとした表情で、サラさんは宣言すると、手順を説明し出した。
あまりにも、その手慣れた様子に…
この人は、敵なのか、味方なのか…と一瞬不安になる。
それでも…情熱的に動く姿に、ついついつられて、何かしなくては…
とハッパをかけられた気分だった。