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第8章 援軍来たる…
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中々中の様子が見えないために、あきらめたのか…
ようやくその男が、角から姿を消すと
「よかったぁ~」
ようやく背中から、ひよりちゃんが離れた。
待子も、急に体中の力が抜けて、その場に座り込む。
ひよりちゃんも、大げさに頭をガクンと垂らすと、その場に
ヘナヘナと崩れ落ちた。
「どうする?やっぱり大家さんに、言った方がいいと思うよ」
心配そうに、ひよりちゃんの顏をのぞき込む。
「うん」
今度はかなり真剣なまなざしで、ひよりちゃんは素直にうなづく。
でも…
「ママには、言わなくちゃ」
急にお母さんのことが、心配になったようだ。
待子はもちろん、この親子のことは、よくは知らない。
ことに、この子のお母さんのことは、何も知らない。
だけど、何か深い事情がありそうだ…というのは、わかる。
そういえば…ここは、駆け込み寺のようなものだ…と
誰かが言ってたのを、今あらためて、思い出していた。
そうして2人は…ほとぼり冷めた、と感じると
そっと目だけで、窓の外を確認すると、
すぐにカーテンをしめて、ソロリソロリと部屋の外に
にじるようにして出て行った。
「ひよりちゃん…お母さんは、どこ?」
仕事だろうけど、一応聞いてみると、
「まだ」と、頭を大きく2~3度、大きく振る。
それからふぅっとため息をもらすと、
「どんなに隠れても、必ずあの人に、みつかっちゃうんだ」
悔しそうに、ひよりちゃんが言う。
その横顔には、悔しさだけではなく、孤独や悲しさが、にじみ出ている
ようだった。
ようやくその男が、角から姿を消すと
「よかったぁ~」
ようやく背中から、ひよりちゃんが離れた。
待子も、急に体中の力が抜けて、その場に座り込む。
ひよりちゃんも、大げさに頭をガクンと垂らすと、その場に
ヘナヘナと崩れ落ちた。
「どうする?やっぱり大家さんに、言った方がいいと思うよ」
心配そうに、ひよりちゃんの顏をのぞき込む。
「うん」
今度はかなり真剣なまなざしで、ひよりちゃんは素直にうなづく。
でも…
「ママには、言わなくちゃ」
急にお母さんのことが、心配になったようだ。
待子はもちろん、この親子のことは、よくは知らない。
ことに、この子のお母さんのことは、何も知らない。
だけど、何か深い事情がありそうだ…というのは、わかる。
そういえば…ここは、駆け込み寺のようなものだ…と
誰かが言ってたのを、今あらためて、思い出していた。
そうして2人は…ほとぼり冷めた、と感じると
そっと目だけで、窓の外を確認すると、
すぐにカーテンをしめて、ソロリソロリと部屋の外に
にじるようにして出て行った。
「ひよりちゃん…お母さんは、どこ?」
仕事だろうけど、一応聞いてみると、
「まだ」と、頭を大きく2~3度、大きく振る。
それからふぅっとため息をもらすと、
「どんなに隠れても、必ずあの人に、みつかっちゃうんだ」
悔しそうに、ひよりちゃんが言う。
その横顔には、悔しさだけではなく、孤独や悲しさが、にじみ出ている
ようだった。
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