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第8章  援軍来たる…

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「へぇ~今時、そんなトコがあるんだぁ」
 杏子が笑って言うので、おそらく信じてないのではないか、と
待子は疑う。
「ホントなんだってばぁ、ホントにそうなの」
子供のように言いつのる待子に、
「うんうん、わかったわかった」
まるで子供をあやすように、あしらうと…突然ニヤリとする。
「おばさんらしいなぁ~もしかして、わけあり物件?」
「わけありじゃないけど…
 いや、ある意味、ワケアリな人たちが、たくさんいるのよ!」

わけありな親子、わけありな黒づくめの女、
わけありな水商売の女、わけありな金髪の女性…
しかも大家さんも、ワケアリなようだ…
一体、どう言ったら、理解してもらえるだろう…
待子は頭をかしげる。
むしろ、小学生のひよりちゃんも、ある意味わけありの匂いが
プンプンする…
困って待子が、黙り込むと、杏子は通りに目をやって、
「それはいいけど…何か食べようよぉ」
待子の腕を引っ張る。
「朝しか食べてないんだ!」そう言うと、ピカリと目を光らせて、
「軍資金、あるんだ!」と、うれしそうに、カバンを軽く
持ち上げると…「わぁ~」と待子ははしゃいだ声をあげる。
「でも…オバサンは、いいの?」
念のために、もう1度聞く。
なぜなら、待子の母淑子では、あり得ないことだからだ。
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