上 下
153 / 428
第7章   突然あらわれた謎の住人

   3

しおりを挟む
「占いが本業なんだけどね、ものすごく当たる…って、評判あるのねぇ」
「えっ、そうなの・」
 待子はひどく驚いて、その黒ずくめの女を凝視すると、
「なんだ、あなた。知らなかったんだぁ」
目をむいて、ケラケラと笑う。
「彼女目当てに、来る人も、結構いましたよ」
 レイコさんはそう言うと…その後ろに控えていた住人たちも、
うんうんとうなづく。
「あら、中田さん!占ってもらったこと…あるの?」
挑発的な様子で、レイコさんは、くだんの女…黒づくめの女に
声をかけた。
ただ茫然としている、待子のことは、楽しそうにチラリと見る。

「そうよぉ、気になるじゃない」
中田という女、レイコさんを見下ろすと、わざと背筋をピンと伸ばして、
胸を張る…
女性にしては、かなりの大柄な女だ。
レイコさんの身長は、155cmとかなり小柄で、化粧をしていないと
子供のように華奢で可愛らしい。
さすがにシワやシミなどは隠し切れないが…本人はあまり、頓着
していなさそうだ。
今朝と同じラフなTシャツと短パン姿のままだ。
「今日は、仕事は?」
やはり気になるのか、後ろの方から、金髪のマイコが声をかけた。

 気が付くと…ひよりちゃんのお母さんと外国人の2人組以外の
全員が、待子の様子をのぞき込んでいる。
(どんだけ暇なんだ?)
待子は呆れてしまうけれども。
そんな待子のことなどお構いなしに、黒ずくめの中田さんは声をひそめると
「時々大家さんのトコにね、色んな人達が来てるでしょ」
と言うので…どんだけ詮索好きなのか、と思いながらも、
さすがにそれは、まだ見ていないなぁ~と、待子は思わず
大家さんのことを思い浮かべた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

続く三代の手仕事に込めた饅頭の味

しらかわからし
ライト文芸
二〇二二年八月六日の原爆の日が祖母の祥月命日で奇しくもこの日念願だった「心平饅頭」が完成した。 そして七十七年前(一九四五年)に広島に原爆が投下された日で、雲母坂 心平(きららざか しんぺい)十八歳の祖母はそれによって他界した。平和公園では毎年、慰霊祭が行われ、広島県市民の多くは、職場や学校でも原爆が投下された時間の八時十五分になると全員で黙とうをする。  三代続きの和菓子店である「桔平」は売上が低迷していて、三代目の店主の心平は店が倒産するのではないかと心配で眠れない毎日を過ごしていた。 両親を連れて初めて組合の旅行に行った先で、美味しい饅頭に出会う。 それからというもの寝ても覚めてもその饅頭の店の前で並ぶ行列と味が脳裏から離れず、一品で勝負できることに憧れを持ち、その味を追求し完成させる。 しかし根っからの職人故、販売方法がわからず、前途多難となる。それでも誠実な性格だった心平の周りに人が集まっていき、店に客が来るようになっていく。 「じいちゃんが拵えた“粒餡(つぶあん)”と、わしが編み出した“生地”を使い『旨うなれ! 旨うなれ!』と続く三代の手仕事に込めた饅頭の味をご賞味あれ」と心平。 この物語は以前に公開させて頂きましたが、改稿して再度公開させて頂きました。

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。

BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。 だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。 女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね? けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。

スパイスカレー洋燈堂 ~裏路地と兎と錆びた階段~

桜あげは
ライト文芸
入社早々に躓く気弱な新入社員の楓は、偶然訪れた店でおいしいカレーに心を奪われる。 彼女のカレー好きに目をつけた店主のお兄さんに「ここで働かない?」と勧誘され、アルバイトとして働き始めることに。 新たな人との出会いや、新たなカレーとの出会い。 一度挫折した楓は再び立ち上がり、様々なことをゆっくり学んでいく。 錆びた階段の先にあるカレー店で、のんびりスパイスライフ。 第3回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます。

【完結】推し活アラサー女子ゆっこのちょっと不思議な日常

日夏
ライト文芸
親友のなっちゃんこと結城那智(ゆうきなち)とその恋人麻生怜司(あそうれいじ)のふたりを一番近くで応援する、ゆっここと平木綿子(たいらゆうこ)のちょっと不思議な日常のお話です。 2024.6.18. 完結しました! ☆ご注意☆ ①この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは 一切関係ありません。 ②タイトルに*がつくものは、年齢制限を含む文章表現がございます。 背景にご注意ください。

記憶のカケラを求めて、今日もきみに嘘をつく

美和優希
ライト文芸
夏祭り会場で起こった悲惨な事故で兄を亡くした柏木将太。 兄とともに夏祭り会場で事故に巻き込まれ、しばらく意識が戻らずにいた、幼なじみ、兼、兄の彼女の梶原花穂。 花穂の目が覚めたという連絡を受けて、将太が花穂の入院する病院へ向かうが、そこにいたのは将太の知っていた花穂ではなかった。 花穂は記憶喪失により、将太のことだけでなく兄のことも花穂自身の両親のことさえわからなくなってしまっていたのだ。 そんな花穂の前に将太が兄の姿をして立ってみたら、花穂は兄の姿をした将太を見て兄の呼び名を口にして──。 ○o。.偽りの姿で、記憶のカケラを探して思い出の地をまわる、僕らの夏休みが始まった。○o。. 初回公開*2019.02.21~2019.02.28 アルファポリスでの公開日*2020.04.30

芙蓉は後宮で花開く

速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。 借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー カクヨムでも連載しております。

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話

水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。 相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。 義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。 陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。 しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。

処理中です...