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第6章 魔女の館へようこそ!
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「へっ?そうなの?」
外国人の人って、ここではまだ、会ったことがないかも~と待子は思う。
ひよりちゃんは、わずかな待子の表情の変化には気付かないようで、
「普段は…工場の方へ行っていて、夜中に帰ってくるからね。
ほとんど会うことは、ないわ」
大人びた口調で、まっすぐに待子を向いて言う。
「でも…お風呂とか、どうしてるの?」
あれは、夢の出来事だったのか。
「なんでもねぇ~工場の方に、シャワーがあるんだって、聞いたわ」
ひよりちゃんと目が合った。
堂々と、ひよりちゃんは、待子の方を見ている。
それにしても…この子はなんでも知っているなぁ。
待子は感心している。
「どうして 知ってるの?」と聞くと、フフッと笑って詳しく
教えてはくれなかった。
「子供好きだったみたいでねぇ。台所で、アイスを食べていたら、
声をかけられたの」
口調は困っているけれど、全く驚いていない口ぶりだ。
「子供って…案外、トクなのよぉ」
何だか嬉しそうに言うので…
この子はきっと、どこででも生きていけるのだろうなぁ
と待子はボンヤリと考える。
「突き当りは、台所。その隣が、トイレよ」
自信満々で、ひよりちゃんが言うと、ガラリと引き戸を開けた。
ステンドグラスのように、ガラスに様々な模様が、ヒカリに投影された。
それを…キレイと待子が思って眺めていた。
外国人の人って、ここではまだ、会ったことがないかも~と待子は思う。
ひよりちゃんは、わずかな待子の表情の変化には気付かないようで、
「普段は…工場の方へ行っていて、夜中に帰ってくるからね。
ほとんど会うことは、ないわ」
大人びた口調で、まっすぐに待子を向いて言う。
「でも…お風呂とか、どうしてるの?」
あれは、夢の出来事だったのか。
「なんでもねぇ~工場の方に、シャワーがあるんだって、聞いたわ」
ひよりちゃんと目が合った。
堂々と、ひよりちゃんは、待子の方を見ている。
それにしても…この子はなんでも知っているなぁ。
待子は感心している。
「どうして 知ってるの?」と聞くと、フフッと笑って詳しく
教えてはくれなかった。
「子供好きだったみたいでねぇ。台所で、アイスを食べていたら、
声をかけられたの」
口調は困っているけれど、全く驚いていない口ぶりだ。
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この子はきっと、どこででも生きていけるのだろうなぁ
と待子はボンヤリと考える。
「突き当りは、台所。その隣が、トイレよ」
自信満々で、ひよりちゃんが言うと、ガラリと引き戸を開けた。
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それを…キレイと待子が思って眺めていた。
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