桜ハウスへいらっしゃい！

第６章 魔女の館へようこそ！

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　　欲しいものは　たくさんある。
　棚に、タンスに、コタツ机に、フトン。
　それから食器に、台所用品も…
「お皿もね、洗濯物干しも、洗剤やシャンプーなんかも、
　なんにもないのよぉ」
ひよりちゃん相手に、訴えるように言うと、
「それは、大変だなぁ～」
驚いた顔をする、ひよりちゃんだ。
「ねぇ、お姉さん。よくそんなんで、越してきたわね」
哀れむような瞳で、待子を見つめてくるので…
だって、おかぁさんが…と言いかけて、ふいに思い直し、
「こっちで買う方が、荷物も軽くて、楽かな、と思ったの」
母淑子をとっさにかばうように、笑ってごまかした。

「それでも、程度によるでしょ？」
ケラケラとひよりちゃんが笑う。
その笑いに救われて、明るい気持ちに変わっていく。
トントンと階段を降りながら、とても元気そうなひよりちゃん。
「ママって、何をしてる人なの？」
思わず口をすべらせてしまったけれど…
これって、プライバシーにかかわるのかしら…と、
ふと気になる。
するとひよりちゃんは、余裕の表情を浮かべると、
「ママはねぇ～大変なの。
　お父さん代わりで、お母さんももちろんして、
　ひよりの親友でもあるの。
　だから少しでも…楽にさせてあげないとね！」
ひどくまっすぐな瞳で、こちらの方を見ていた。