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第6章 魔女の館へようこそ!
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「ねぇ~寝たかしら?」
灯りが消えて、シンと静まり返った205の部屋を、角の柱の所で
見つめる女が2人。
廊下で、何やら小声でささやいている…
マメ球の小さな光に照らされて、立つのは、先ほど待子の父貴文に
声をかけた派手な女と、先ほど不法侵入した、金髪の女だ。
何をしているのだか、声をひそめて、部屋の中をうかがっている…
「あんた、やり過ぎよぉ」
派手な女はそう言うと…責めるでもなく、クスクスと笑う。
金髪の女は、黒いフードを頭からはずすと、バサッとカールした髪が、
肩まで流れ出て来た。
「だってさぁ~、またあのストーカーにつきまとわれてたからぁ」
ちょっと甘ったるい調子で、金髪の女は言う。
「あら…マイコさん!あれほど気を付けろと、言ったのに」
「でも、レイコさん!
あいつ、かなりしつこいんだもん。
まくのに、ひと苦労で…」
仕方がないなぁ~と、レイコさんと呼ばれた、派手な女は、
頭を振る。
「せめて…新入りの子の部屋からじゃなくて、自分の部屋の窓は
ダメなの?」
早くも諦めたように、レイコさんが聞くと
「だってさぁ~」
金髪のマイコは、反省の色を見せず、まだ何か言い足りなさそうに、
頭をバサッと振ると、金髪の波が大きく揺れる。
「あの部屋…丁度入りやすいんだもん!
いっつもあそこから出入りしてたから、便利なんだって」
先ほどから、ボソボソと自分の部屋の前で、声が聞こえてくるのに、
待子は気付いていた。
(えっ、どういうこと?)
断片的に、マイコの話に、体を固くする。
(まさかまた…この部屋を玄関替わりにするってこと?)
思わず、悲鳴が漏れそうになる。
正直、やめてくれ、と思うのだった。
灯りが消えて、シンと静まり返った205の部屋を、角の柱の所で
見つめる女が2人。
廊下で、何やら小声でささやいている…
マメ球の小さな光に照らされて、立つのは、先ほど待子の父貴文に
声をかけた派手な女と、先ほど不法侵入した、金髪の女だ。
何をしているのだか、声をひそめて、部屋の中をうかがっている…
「あんた、やり過ぎよぉ」
派手な女はそう言うと…責めるでもなく、クスクスと笑う。
金髪の女は、黒いフードを頭からはずすと、バサッとカールした髪が、
肩まで流れ出て来た。
「だってさぁ~、またあのストーカーにつきまとわれてたからぁ」
ちょっと甘ったるい調子で、金髪の女は言う。
「あら…マイコさん!あれほど気を付けろと、言ったのに」
「でも、レイコさん!
あいつ、かなりしつこいんだもん。
まくのに、ひと苦労で…」
仕方がないなぁ~と、レイコさんと呼ばれた、派手な女は、
頭を振る。
「せめて…新入りの子の部屋からじゃなくて、自分の部屋の窓は
ダメなの?」
早くも諦めたように、レイコさんが聞くと
「だってさぁ~」
金髪のマイコは、反省の色を見せず、まだ何か言い足りなさそうに、
頭をバサッと振ると、金髪の波が大きく揺れる。
「あの部屋…丁度入りやすいんだもん!
いっつもあそこから出入りしてたから、便利なんだって」
先ほどから、ボソボソと自分の部屋の前で、声が聞こえてくるのに、
待子は気付いていた。
(えっ、どういうこと?)
断片的に、マイコの話に、体を固くする。
(まさかまた…この部屋を玄関替わりにするってこと?)
思わず、悲鳴が漏れそうになる。
正直、やめてくれ、と思うのだった。
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