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第6章  魔女の館へようこそ!

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「ホームセンターになら、売ってるから、明日にでも買ってくるといいわ!
 あの人、酔っぱらってて、気が大きくなったのかもしれないわね」
 心配そうに言うけれど、大家さんはまるで…こういったトラブルに
慣れているのか、
「困った人だわ」とクスクス笑う。
 当事者の待子としては、複雑な気分だ…

 いきなりの魔女の洗礼で…思いがけず、ほかの住人と顔合わせは
果たしたけれど、自分はまだ、キチンとしたあいさつをしていない…
粗品を用意さえしていないことに気が付いた。
今どき、そんなこと、する人いるの、と思ったけれど、
「最初が肝心よ」
母淑子が言っていたことを、思い出す。
「まずはきちんと挨拶をして…第一印象は大切だからね」
いい印象どころか…まるでドッキリに引っ掛けられたような印象しか、
待子の中では浮かばない。
「明日から、どうしよう?」
いわくつきのこの下宿屋。
ずいぶん癖の強い人たちがいるような気がする…
自分はうまくやっていけるのか…と、不安しか感じない。
 
 とにかく眠ろう…と思い立ち、今度こそ引き戸に鍵をかけると、
(明日、もう1個鍵を買ってこよう)
そう思うと、ようやく落ち着いて来る。
確か母さんは、こういう下宿屋だと、人がたくさんいるから、
防犯上安心だ、と言ってなかっただろうか…と思うけれど、
かえって不安な気がするのは、どうしてなのだろう…
さっきの不法侵入のせいなのかもしれない…と
ムリヤリ自分に思い込ませようとしている。
(窓にも、もう1個、鍵を取りつけなくちゃ」
早速、頭の中のいるもののリストに、鍵も追加するのだった。
「でも…本当に大丈夫なのかしら?」
大家さんに借りたフトンに横になると、なぜだかもう1度、
目を開くのだった。
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