桜ハウスへいらっしゃい！

第６章 魔女の館へようこそ！

４

「さぁ、明日は大変だぞ」
　ひとり言をつぶやくと、待子はカーテンを閉めた。
とたんに部屋の中がガラン…として、なんだかとても味気なく感じる。
時折、他の部屋の住人が、ミシミシと足音を立てて、階段を上がって来る
音が聞こえてきた。
「あっ」と思うけれど、あいさつに行く勇気はおこらない…
（そういえば…母さんが、タオルか洗剤を持って、あいさつに行きなさいと、
言ってたなぁ～）と思うけれど、今日はバタバタしていて、
買い物も満足に出来てはいなかった…
こんな日が、あとどのくらい続くのだろう…
と思うと、少し気が重くなるけれど。

　父さんと買ったのは、テレビとポットと炊飯ジャー。
それでもまだまだ、足りないものだらけだ…
こういう時、世のお母さんたちが、頼りになるのだろうけれど…
我が家は違う、と思うと、少し寂しくなる待子である。
「まぁ、杏子と買い出しに行くのもいいかもね」
そう思うと、何だかどっと疲れが出て来た…
しかも今日買ったものの配達は、明日…
明日は、どのくらい動けるのだろう…
１人ですべてを揃えようとしたら…かなり大変だ…
そう思うと、少しうんざりとしてくる…
「まぁ、いいかぁ～明日で」
これ以上、深く考えるのは、止めにしよう…と思うのだ。
それでも頭の中では…あれこれとリストが出来ている…
（引っ越しのあいさつに持って行くもの）
トップ項目に、それを１番にインプットする。

　とりあえず、電気はつくし、コンビニで買って来た、
お茶があるから、今日はどうにか過ごせそうだ。
それにしても…と待子は部屋の中を見回す。
「まるで、家の中で、野宿してるみたい」
思わず笑いたくなる…
人はおそらく、あまりにも問題が多すぎると、
笑いたくなるものだ…と気が付いた。
そして、
なんだかとんでもないとこに、来ちゃったなぁ～と
あらためて思うのだった。