桜ハウスへいらっしゃい！

第5章 いざ！出陣！

５

　　スポーツマンで、人付き合いもよく、誰とでも仲良く話が出来る弟が…
実は待子の唯一の弱点で、とにかく可愛くて仕方ないのだ。
何しろ弟は…待子が１０歳の時に、生まれてきたので…
何においても、可愛くてしかたない…
自分で、オムツを変えたこともあるし、ミルクをやったこともある。
まだとても小さくて、可愛い弟、と思ってきたのだ。
母淑子も、弟には弱いらしく…待子に対する時みたいに、
キャンキャンと文句を言ったりはしない。
ずるいと思ってたけれど、実の所、風野家では、弟が家の中心にいる…
その行動すべてが、とにかく愛らしくて…
待子自身も、この弟がかわいくてしかたない…
ホントいうと…この弟のことが気掛かりで、しかたないのだ。　
どう説得したのかは知らないが…一人暮らしを決めた時…
これが１番、気になっていたのだ。

「ま、アイツは、あれで…意外とシッカリしてるから、大丈夫だろう」
父はあっさりとうなづくので、何だか弟のことをたのもしいと
思っていた。
車内の空気は微妙だけれど、待子はあえて後ろを振り向かない。
　自分の後ろの席から、なんとなく圧を感じて…怖くて見れないのだ。
父さんは、平気なのかなぁと、チラリと振り向くと、見た感じは
思ったよりも普通の顏をして、ハンドルを握っている。
これが当たり前なのかなぁと、何だか不思議な気持ちになった。