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第5章  いざ!出陣!

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「でもさ、荷物の受け取りもあるし、掃除もしないといけないし、
 1人留守番して、買い物もしないといけないだろ?
 すると、やっぱり…人手が多い方が効率的だと思わないか?」
淡々と父貴文は言う。
まるで駄々っ子をなだめるように、その口調はとても穏やかだが、
とても論理的だ。
「それに、考えてごらん。
 大家さんのことを知ってるのは…待子と淑子しか、いないじゃないか。
 とすると…ボクが行くよりも、絶対に役に立つのは、淑子、となるよな」
表面上は柔らかいが、しかしキッパリとした口調で、抗うことなどあり得ない…
そんな空気もあった。
いつもなら、金切り声を上げるか、ブスッと子供のように反抗的になるのだが、
はぁ~と大きくため息をつくと、
「家長はあなただわ。
 あなたがそう言うのなら、従うしかないわね…」
珍しく折れた。
そうして淑子はしぶしぶうなづくと、無言で後部座席に乗り込む。
貴文はその様をチラリと見ると、今度は待子を目でうながした。
待子はてっきり、助手席に母親が乗ると思っていたので、
困ったように、後部座席を見つめる。
しばらく迷った顔をしたけれど、ようやく助手席に乗り込んだ。

「さぁ、早く行かないと、もう荷物が付いてるぞ」
やけに楽しそうに…まるでこれから家族そろって、ピクニックにでも行くぞ、
という調子で言うので…後部座席の淑子は、チラリと夫の後ろ姿を見つめると、
「電車の方が、もしかしたら早いかもね!」
ちょっとあざけるような口調で言った。
その言葉に、特に反応するでもなく…父親は「うん」と言うと
「だから余計に…早く出なくては」
と言うと、すぐさま車のエンジンをかけた。
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