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第2章  こんなはずじゃなかったアパート探し

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  ここ、いいなぁ~
 先ほどから、うっとりと、待子は部屋を見回した。
見るだけだ、と心に蓋をしていたというのに、やはり見てしまうと、
心が動いてしまう。
6畳のまだ何もない部屋のレイアウトを、あれやこれやを夢想する…
机はこちら、ベッドはここ。
押入れのサイズがこれだから…衣装ケースはこれとこれ。
クローゼットかわりに、ポール留めて、ハンガーつるして…と、
次から次へ、アイディアが浮かんでくる…
幸せな想像にひたっていると、6畳のワンルームの窓からは、
陽がさんさんと差し込んでいる…

「ここは、洗濯物はよく乾くし、フトンも干せますよ」
ぽーっとしている待子に気付くと、そっとその耳に、ささやきかけた。
それはまるで、悪魔のささやきのように、待子には思えた…
「バスルームとトイレと別々なのも、人気の1つですね」
そう言うと部屋の仕切りの戸を開ける音がして、2人を
玄関から入ってすぐの洗面所へと導いた。
母淑子の様子は、相変わらず怪しかったけれど、
待子としては、この近くの商店街の様子も興味深かったし、
この部屋自体も気に入ったし、
本当なら、ここに決めたいのは山々だったけれども。
目の前の山を突破しなければ、それも塵と消えてしまう。
あこがれの一人暮らしスタートが、一体どうなるだろうかと…
不安になるのだった。

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