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第2章  こんなはずじゃなかったアパート探し

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  初めはけげんな目で、敬遠するように見ていた淑子も、
じきにこのインパクトの強い女性に、共感をいだいたようだった。
女の闘いが見られるのでは…と、ドキドキしつつも、
内心期待していた待子にとって、少し肩すかしに感じたりもしたのだが…
「まぁまぁ、わざわざすみません」
すっかりフレンドリーに、態度を軟化させた母淑子。
「滝川さんに、お話していた通りなのですが…出来るだけ
学生らしい下宿を、紹介していただけると聞いて来たのですが…」
と、にこやかに暗に同意を求めた。
すると、少しも気後れする様子もなく、
「わかりました。時間がもったいないので、まずは車の中で
 お話をお聞きしましょう」
と、ひとまず2人を、コインパーキングへと導いた。

「昨今の学生さんはねぇ~何かと注文が多いんですよね。
 オートロックとか、宅配ボックス付きとか。
 昔の私達世代では、考えられないくらいのことを、
 平気で言ってきますからね」
 どうやらこの不動産屋さん、まずはターゲットを母に決めたらしい。
まるで腕を組んで、どこかに繰り出しそうな勢いで、にこやかに
話を進めている。
「そうそう!私も常々、そう思っていたんですよ」
母淑子は、ようやくまともに話せる人を見つけた…と言わんばかりに
身を乗り出す。
「ホントにね!親のすねかじりのくせに、ゼイタクとでも
 言いますか…うちの娘が言い出したら、と思うと、
 ゾッとしますわ」
淑子の言うことにも、シッカリと耳を傾け、
「ホントにねぇ」と大いにうなづいている。
 フジヨシさんなる、この不動産屋の女性は…母淑子よりも
おそらく、年齢が上のように思われる。
それでもこの2人…まるで昔からの友人のように、すっかり打ち解けて、
主役である、待子のことなどそっちのけ。
忘れきっているようだ。

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