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第2章 こんなはずじゃなかったアパート探し
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「本当に、大丈夫?
会ったこともないような人なんでしょう?」
待ち合わせの改札口の近くに立っていると、母淑子は、不安そうに
キョロキョロしている…
(ほら、言わんこっちゃない)
そう思うけれど…そんなことをひと言でも言ったら、明日はまともに
お天道さんが拝めなくなる…と思い、あえて待子は口つぐんだ。
初めは
「あら、中々来ないわねぇ」
そう繕うように言ったけれど…だけど次第に落ち着きがなくなり、
ようやくボソリと
「待ち合わせ場所、間違えたかなぁ」
そう言うと、イライラしたように、辺りを見回した。
「あんたがトロトロしてるから…」
ぶつける相手がいないせいか…待子をジロリとにらみつけた。
そもそも約束の時間よりも、1時間も早くついたのだから、
待たされるのは、当たり前…
そう思うのだが
「約束よりも、早く行くのが、常識よ」
胸をはって言うので…待子はあえて無言のまま、黙って母の待ち人を
探すふりをして、様子をうかがった。
さすがに、約束から20分すぎた頃には…
「あら、日付を間違えたのかしら…?」
母淑子もついに、おろおろし始める。
「ねぇ、あんた、知らない?」
そう聞かれた時には
「知らないわよ」としか、言いようがなかった。
みるみるシュン…とする母親に、何か言わなければ…と思うけれど、
余計なことを言うと、かえって怒るかもしれない…と思い、
「その人に連絡してみれば?」
気休めより、マシと思って言った。
会ったこともないような人なんでしょう?」
待ち合わせの改札口の近くに立っていると、母淑子は、不安そうに
キョロキョロしている…
(ほら、言わんこっちゃない)
そう思うけれど…そんなことをひと言でも言ったら、明日はまともに
お天道さんが拝めなくなる…と思い、あえて待子は口つぐんだ。
初めは
「あら、中々来ないわねぇ」
そう繕うように言ったけれど…だけど次第に落ち着きがなくなり、
ようやくボソリと
「待ち合わせ場所、間違えたかなぁ」
そう言うと、イライラしたように、辺りを見回した。
「あんたがトロトロしてるから…」
ぶつける相手がいないせいか…待子をジロリとにらみつけた。
そもそも約束の時間よりも、1時間も早くついたのだから、
待たされるのは、当たり前…
そう思うのだが
「約束よりも、早く行くのが、常識よ」
胸をはって言うので…待子はあえて無言のまま、黙って母の待ち人を
探すふりをして、様子をうかがった。
さすがに、約束から20分すぎた頃には…
「あら、日付を間違えたのかしら…?」
母淑子もついに、おろおろし始める。
「ねぇ、あんた、知らない?」
そう聞かれた時には
「知らないわよ」としか、言いようがなかった。
みるみるシュン…とする母親に、何か言わなければ…と思うけれど、
余計なことを言うと、かえって怒るかもしれない…と思い、
「その人に連絡してみれば?」
気休めより、マシと思って言った。
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