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第1章  そして決戦の火ぶたが落とされる

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「私もさ、東京はどうしたって、親が許してくれないし…
 自信もないから、近場で手を打とうと思うのよね」
 そう言うと、手渡した本のページに指を這わせると
「別に、特に何かしたい、というこだわりがないのなら、
 ここなんて、どう?
 偏差値も、ここなら問題ないかもよ」
 と指示したのは、この辺りでも、そこそこ名の知れた
ミッション系の女子大だった。
そのあたりは、ノーマークだった待子。
「近場の女子大?」
驚いた顔で、聞き返す。
「そう」
自信たっぷりに、杏子は待子に、黒く光る瞳を向ける。
「別にさぁ、女子大だって、コンパもあるし、
 近くの国立大のサークルに入れば、男子とも知り合えるし…」
さしてこだわりもないようで、もうすでに受ける気満々のようだ。
「それで、一人暮らし?」
「もちろん!」
「近くない?」
「そこがみそよ!」
まだ迷っている待子に向かって、ビシッと指を立てると、
居住まいを直した。
「女の子の一人暮らしって、私達が思うよりも、親が心配
するでしょ?
でもね…自分の目の届く範囲内なら…
比較的親も安心するし、OKも出やすいのよねぇ~」
そう言うと、ふふっと笑って、目をクルクルさせた。
「我が家の大蔵大臣はさぁ~とても厳しいから、都会は絶対
 反対すると思うの。
 そこなら、そこそこ街中だし、でもさほど都会都会してないから、
 住みやすいし、親も安心すると思うのよねぇ」
得意気に言うので、待子も思わず「なるほど」と納得せずには
いられなかった。
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