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プロローグ

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  思えばいつも…母に振り回されてきた、人生だったと思う…
今しかチャンスはない、と待子はそう思った。
このままだといけない。
今こそ、動かなければ。
そう思い、カバンの中から、先ほどポストからそっと取り出してきた、
自分宛の封書を取り出した。

「ねぇ、いつお母さんに話すの?」
気持ちを落ち着かせようと、親友の杏子に電話をした。
これまでずっと、2人で計画していたことがあるのだ。
「まだ、悟られてないの?」
さらに受話器の向こうから、杏子の声が響いて来る。
待子は時折、部屋のドアの方を、チラチラ見ながら
「うん、多分大丈夫だと思う」
そう言うと…あらためて、郵便の中身をもう一度確認した。
もちろん…何度見たって、変りはしないのだけれど。
「私が、そっちに行こうか?」
心配そうに言う、待子の声。
さすが、我が親友…
いつだって、私のことをわかってくれるのだ。
待子は、ふぅっと息を吐きだすと
「とにかく、言ってみる。ダメなら…次の計画を実行するだけよ」
そう言うと、一瞬杏子が息をのむ音がして、
「わかった。無理はしないでね」
そう言うと、「大丈夫」と短く答えて、電話を切った。

さあ、いよいよ決意のほどを、見せなければ。
待子は封筒を握りしめ、階下へと向かう。

戦闘の始まりだ。
今度こそ、自分で道を切り開くのだ。
握り締めた封書の表書きには
『合格通知書在中』と書かれていた。
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