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第 16章  最初で最後の思い出を…

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「これから…どうするんですか?」
 このままずっと、この人はここで暮らすのか…と、
珠紀は少し気にかかる。
こんな人里離れた所にいたら、時間も、自分のことも、色んなこともみんな、
忘れてしまうのではないか…と、気になっていた。
 
 その時目線の端で、何かが動いているのが見えた。
一体、何?と目を凝らすと、その人影がこちらに向かって手を振って
「あっ、タマキ~元気だった?」
懐かしい声が聞こえてきた。
「えっ?」
どうしてここに?
なんで?
珠紀は混乱する。
なぜなら、ここにいるはずのない人だからだ。
「もしかして…玲?」
 それは…ここにとらわれてから、ずっと会いたいと思っていた
親友の姿だった。
「ねぇ、どうして?」
マボロシじゃあないよね?
私…夢を見ているわけじゃあないよね?
確かめるように、じぃっと見つめる。
「何やってるのよぉ。
 まるで、幽霊に会った人みたいに!」
ケラケラと玲が笑う。
(やっぱり、玲だ!)
珠紀は思わず…泣き出しそうになった。

「よかった!元気そうで!」
ニコニコしながら、珠紀に近付いてくる。
「ね、1人で来たの?」
一応確かめておかねば、と玲に聞いてみる。
「えっ」
一瞬 何を言っているんだ、と彼女は状況が把握できず、
キョトンとした顔になる。
それに加えて、花粉症には困ったものだ…
そう思っていた。
隣にいたはずの武雄の姿が、ずいぶん遠い。
(どうして?)と思っていると、
いきなりひょいと、目の前に現れた。
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