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第14章 混線

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「別に」
 短く答えると、彼はチラリと先ほど彼女の出て行った方向を見て
「今まで通りだ。きっと、これからも」
付け加えるように言うので、どういうことなんだ、と珠紀は思う。

 彼の真意が、わからない…
 それならさっき言ったことは、どういう意味なんだ?
「君は、早くここから出た方がいい」
まるで珠紀を拒むように、彼は冷たく言い放つ。
ここからは、立ち入るな、と言っているようだった。
「どうして?」
 なんでそんな言い方をするの?
精一杯の思いを込めて、珠紀は彼を見つめる。
だが彼は、つぃっと目をそらすと、
「君は、ここにはいるべきではない」
それだけ言い放つと、背中を向ける。

 どうしてそんな風に、言うのだろう?
珠紀は急に、寂しくなる。
涙がこぼれそうになるのを、上を向いて、必死でこらえた。
するとふいに、彼は射るようなまなざしを向けると
「このことは…山内さんには、絶対に言うなよ」
釘をさすことも、忘れなかった。

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