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第13章 今宵一夜だけは…
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「えっ?」
ガラスケースを壊してしまわないか…と、心配そうに珠紀は見つめる。
「これ…カギはついていないんだ」
やけにあっさりと、彼は言う。
そう言う問題じゃないんだ…と思うけれど、黙って見ていると
「あんまりにも単純すぎて、ガッカリするかもなぁ」
楽しそうに彼が言う。
そうしてゆっくりと、ガラスを持ち上げた。
「そんなことしても、大丈夫なの?」
まだ心配そうに見つめる珠紀を、ニヤリと見返すと…
彼はそんな声を気にすることなく、ぐぃっと持ち上げる。
「いいんだ]
さばさばとした口調で言うと、
おもむろに、透明のガラスがパカッと外れた。
「あっ」
一瞬、壊れた、と珠紀は思った。
「大丈夫、大丈夫」
平気な顔で、ガラスケースをどけてみせる。
「空気にあててもいいの?」
思わず珠紀は鋭い声をあげる。
彼はチラリと見ると、
「大丈夫だって」
平気な顔をして見せた。
空気をあてたら、しおれたりしないだろうか?
枯れたりしないの?
まだおろおろするように、彼の手元を見ている。
「これはね、眼には見えない穴が、無数にあいているんだ」
むしろ得意気に、武雄はひょぃっとケースを持ち上げてみせる。
「このバラはねぇ~初めてボクと母が、作った花なんだ」
ケースから現れた花は…とても鮮やかな紫色のバラだった。
「品種改良してね、この色を出すのに、とても苦労したんだ」
誇らしげに言う彼の横顔は、とても若々しいエネルギーに
満ち溢れていた。
(これが、あの人なの?)
あまりの変わりように、まるで双子の片割れではないか、と
珠紀は驚く。
「このバラにはね、不思議な力があるんだ」
彼はバラの鉢を目の高さまで持ち上げた。
ガラスケースを壊してしまわないか…と、心配そうに珠紀は見つめる。
「これ…カギはついていないんだ」
やけにあっさりと、彼は言う。
そう言う問題じゃないんだ…と思うけれど、黙って見ていると
「あんまりにも単純すぎて、ガッカリするかもなぁ」
楽しそうに彼が言う。
そうしてゆっくりと、ガラスを持ち上げた。
「そんなことしても、大丈夫なの?」
まだ心配そうに見つめる珠紀を、ニヤリと見返すと…
彼はそんな声を気にすることなく、ぐぃっと持ち上げる。
「いいんだ]
さばさばとした口調で言うと、
おもむろに、透明のガラスがパカッと外れた。
「あっ」
一瞬、壊れた、と珠紀は思った。
「大丈夫、大丈夫」
平気な顔で、ガラスケースをどけてみせる。
「空気にあててもいいの?」
思わず珠紀は鋭い声をあげる。
彼はチラリと見ると、
「大丈夫だって」
平気な顔をして見せた。
空気をあてたら、しおれたりしないだろうか?
枯れたりしないの?
まだおろおろするように、彼の手元を見ている。
「これはね、眼には見えない穴が、無数にあいているんだ」
むしろ得意気に、武雄はひょぃっとケースを持ち上げてみせる。
「このバラはねぇ~初めてボクと母が、作った花なんだ」
ケースから現れた花は…とても鮮やかな紫色のバラだった。
「品種改良してね、この色を出すのに、とても苦労したんだ」
誇らしげに言う彼の横顔は、とても若々しいエネルギーに
満ち溢れていた。
(これが、あの人なの?)
あまりの変わりように、まるで双子の片割れではないか、と
珠紀は驚く。
「このバラにはね、不思議な力があるんだ」
彼はバラの鉢を目の高さまで持ち上げた。
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