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第13章 今宵一夜だけは…
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「あぁ、朴念仁で、悪かったですね!」
さっきまで、ニヒルな顔をしていた武雄が、まるで別人のように
すねている。
山内さんの前では、まるで子供のようだ。
(あの人って、何者?)
珠紀はこのオバサンのことを、尊敬すると共に、
一体この人は…どうしてここにいるのだろう、と不思議に思っていた。
これでは雇用主と使用人の関係どころか、親戚のオバサンと甥っ子
のような関係ではないか…見ていて思わず、笑いをこらえる。
彼が怒りださないか…とひそかに心配するのだけれど、
案外そんな様子もなく、山内さんも全く平気の平左で、
相変わらずズケズケとモノを言うのだ。
「そうそう、坊ちゃん!
あの場所には、連れて行かれました?」
マイペースに、強気な口調で彼女が言うと
「あの場所?」
どこ?とキョトンとした顔で、彼は山内さんを見る。
「ほら、あの場所ですよぉ~
坊ちゃんが、大切にしている…」
2人の会話を、珠紀はハラハラしながら聞いているけれど、
その様子は、全く変わる様子はない。
じれったそうにする山内さんに、彼はようやく
「あぁ~」と大きくうなづくと、
「あそこかぁ~連れて行っても、いいのかなぁ」
ボンヤリとした顔で言う。
山内さんは、まるでダメな息子を見る母親のような、慈しむ
視線を向けて
「そうですよ。
奥様との大切な…思い出の場所です…」
そう言うので、それはどこだろう、と珠紀は急に好奇心を
刺激された。
彼と山内さんとのやり取りを、珠紀は好奇の目を向けて
聞いている。
他にもまだ、秘密の場所でもあるの?と…
否が応でも、気持ちが浮き立ってくる。
「そうかぁ~」
それは考えてもいなかった、と彼がまたもボーッとしていると、
「せっかくだから、連れて行かれたら?」
ダメ押しのように、山内さんは繰り返した。
さっきまで、ニヒルな顔をしていた武雄が、まるで別人のように
すねている。
山内さんの前では、まるで子供のようだ。
(あの人って、何者?)
珠紀はこのオバサンのことを、尊敬すると共に、
一体この人は…どうしてここにいるのだろう、と不思議に思っていた。
これでは雇用主と使用人の関係どころか、親戚のオバサンと甥っ子
のような関係ではないか…見ていて思わず、笑いをこらえる。
彼が怒りださないか…とひそかに心配するのだけれど、
案外そんな様子もなく、山内さんも全く平気の平左で、
相変わらずズケズケとモノを言うのだ。
「そうそう、坊ちゃん!
あの場所には、連れて行かれました?」
マイペースに、強気な口調で彼女が言うと
「あの場所?」
どこ?とキョトンとした顔で、彼は山内さんを見る。
「ほら、あの場所ですよぉ~
坊ちゃんが、大切にしている…」
2人の会話を、珠紀はハラハラしながら聞いているけれど、
その様子は、全く変わる様子はない。
じれったそうにする山内さんに、彼はようやく
「あぁ~」と大きくうなづくと、
「あそこかぁ~連れて行っても、いいのかなぁ」
ボンヤリとした顔で言う。
山内さんは、まるでダメな息子を見る母親のような、慈しむ
視線を向けて
「そうですよ。
奥様との大切な…思い出の場所です…」
そう言うので、それはどこだろう、と珠紀は急に好奇心を
刺激された。
彼と山内さんとのやり取りを、珠紀は好奇の目を向けて
聞いている。
他にもまだ、秘密の場所でもあるの?と…
否が応でも、気持ちが浮き立ってくる。
「そうかぁ~」
それは考えてもいなかった、と彼がまたもボーッとしていると、
「せっかくだから、連れて行かれたら?」
ダメ押しのように、山内さんは繰り返した。
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