157 / 286
第12章 優しくしてよ、モンスター
13
しおりを挟む
「そうなの?」
先ほどの男の取り付く島もない対応に、怒ってはいたけれど、
どうにか思い直す。
「もう、ホント、坊ちゃんってば!」
やれやれと、山内さんは呆れたように、声を上げるとニヤリと笑う。
「ほら、よく…好きな子には、いじわるをする、って言うでしょう?」
何か思い当たる様子だ。
それって、小学生の男の子のことなんじゃ…と思っていると、オバサンが
片目を軽くウィンクして、
「坊ちゃんの心の成長は、小学生辺りで、止まっているのよ」
楽しそうに笑う。
「え~っ!」
そうなの?
珠紀は疑わしそうに、オバサンを見返す。
そんなこと言ってて、本当に怒り出したら、どうするの?
そうひそかに考えていた。
「ま、その時はその時よ!」
カラリとした声で、子供のようにクシャリと笑う。
「まかせて!私から…坊ちゃんに、伝えとく!」
オバサンは、ポンと自分の胸をたたいた。
それから、どんな手を使ったのかはわからないけれど…
男は珠紀の所にやって来て、
「すまなかった」と彼は頭を下げた。
「君の気持ちも考えず、つい暴走してしまった。すまない」
あまりに素直に頭を下げるのに、珠紀はあわてて頭を振った。
「いいえ、私の方こそ!
失礼なことをして、ごめんなさい」
珠紀も深々と頭を下げる。
「それにしても…素敵なところですねぇ」
すらりと自然に言葉が出て来たので、男は驚いた顔になる。
「そうか?」
仮面のせいで、顏は見れないけれど…
ちょっと照れているようにも見えた。
「はい」
花壇の側のベンチから立ち上がると、ゆっくりとポーチの方まで
歩いて行った。
先ほどの男の取り付く島もない対応に、怒ってはいたけれど、
どうにか思い直す。
「もう、ホント、坊ちゃんってば!」
やれやれと、山内さんは呆れたように、声を上げるとニヤリと笑う。
「ほら、よく…好きな子には、いじわるをする、って言うでしょう?」
何か思い当たる様子だ。
それって、小学生の男の子のことなんじゃ…と思っていると、オバサンが
片目を軽くウィンクして、
「坊ちゃんの心の成長は、小学生辺りで、止まっているのよ」
楽しそうに笑う。
「え~っ!」
そうなの?
珠紀は疑わしそうに、オバサンを見返す。
そんなこと言ってて、本当に怒り出したら、どうするの?
そうひそかに考えていた。
「ま、その時はその時よ!」
カラリとした声で、子供のようにクシャリと笑う。
「まかせて!私から…坊ちゃんに、伝えとく!」
オバサンは、ポンと自分の胸をたたいた。
それから、どんな手を使ったのかはわからないけれど…
男は珠紀の所にやって来て、
「すまなかった」と彼は頭を下げた。
「君の気持ちも考えず、つい暴走してしまった。すまない」
あまりに素直に頭を下げるのに、珠紀はあわてて頭を振った。
「いいえ、私の方こそ!
失礼なことをして、ごめんなさい」
珠紀も深々と頭を下げる。
「それにしても…素敵なところですねぇ」
すらりと自然に言葉が出て来たので、男は驚いた顔になる。
「そうか?」
仮面のせいで、顏は見れないけれど…
ちょっと照れているようにも見えた。
「はい」
花壇の側のベンチから立ち上がると、ゆっくりとポーチの方まで
歩いて行った。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
旦那様が不倫をしていますので
杉本凪咲
恋愛
隣の部屋から音がした。
男女がベッドの上で乱れるような音。
耳を澄ますと、愉し気な声まで聞こえてくる。
私は咄嗟に両手を耳に当てた。
この世界の全ての音を拒否するように。
しかし音は一向に消えない。
私の体を蝕むように、脳裏に永遠と響いていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる