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第8章 秘密の隠し部屋
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「おまえたちは…面白おかしく、ネットで…ここには化け物がいる、と流布した。
それ以来ここは、物見高いヤツらが、たえずやって来る。
ここを守るためには…こうするしかないのだ」
苦々しい顔をして、そう言った。
「でも、こんなことをしたら、逆効果なのでは?」
武雄の表情をうかがい、こそっと珠紀が言うと、彼はピクリと
頬の筋肉を引きつらせる。
「それは、わかってる。
おかげでホテルは、問い合わせの電話が、頻繁にくるようになった」
「それは、よかったのでは?」
「本当に、そう思うのか?」
低い声で、珠紀をさえぎると、男は暗い目つきで、珠紀をにらみつける。
その瞳のあまりに冷たく深い闇に…彼女は思わず、ピクリと肩を震わせる。
男ははぁ~とため息をつくと、
「そう…おかげで、たくさんの人が来るようになった。
が、そのせいで…この静かな場所が、土足でズカズカと踏み込まれる
ようになったのは、事実だ」
男がギロリと、珠紀をにらむので、珠紀はそっと肩をすくめると
「ごめんなさい…」とつぶやく。
「はっ?」
男はさらに、珠紀を見ると、
「君を責めているわけじゃない。
なんでそう簡単に、謝るんだ」
今度は逆に、叱りつけるようにして、男は言う。
「でも…」
実際に、自分たちは土足で踏み込むような真似をしているのは、
事実だ。
珠紀はそうっと頭を下げた。
叱られてしまうと…今度はどうしたらいいのか、よくわからない。
「じゃあ、私はどうしたら?」
珠紀は困ってしまい、男を見上げる。
「そうだなぁ」
男は遠慮なしに、ジロジロと彼女を見つめる。
珠紀は何だか、居心地の悪さを感じて、落ち着かない気分になった。
それ以来ここは、物見高いヤツらが、たえずやって来る。
ここを守るためには…こうするしかないのだ」
苦々しい顔をして、そう言った。
「でも、こんなことをしたら、逆効果なのでは?」
武雄の表情をうかがい、こそっと珠紀が言うと、彼はピクリと
頬の筋肉を引きつらせる。
「それは、わかってる。
おかげでホテルは、問い合わせの電話が、頻繁にくるようになった」
「それは、よかったのでは?」
「本当に、そう思うのか?」
低い声で、珠紀をさえぎると、男は暗い目つきで、珠紀をにらみつける。
その瞳のあまりに冷たく深い闇に…彼女は思わず、ピクリと肩を震わせる。
男ははぁ~とため息をつくと、
「そう…おかげで、たくさんの人が来るようになった。
が、そのせいで…この静かな場所が、土足でズカズカと踏み込まれる
ようになったのは、事実だ」
男がギロリと、珠紀をにらむので、珠紀はそっと肩をすくめると
「ごめんなさい…」とつぶやく。
「はっ?」
男はさらに、珠紀を見ると、
「君を責めているわけじゃない。
なんでそう簡単に、謝るんだ」
今度は逆に、叱りつけるようにして、男は言う。
「でも…」
実際に、自分たちは土足で踏み込むような真似をしているのは、
事実だ。
珠紀はそうっと頭を下げた。
叱られてしまうと…今度はどうしたらいいのか、よくわからない。
「じゃあ、私はどうしたら?」
珠紀は困ってしまい、男を見上げる。
「そうだなぁ」
男は遠慮なしに、ジロジロと彼女を見つめる。
珠紀は何だか、居心地の悪さを感じて、落ち着かない気分になった。
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