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第8章  秘密の隠し部屋

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「キミ…勇気があるんだなぁ」
 そう言うと、ふっと息を吐きだすようにして
「武雄」とつぶやいた。
「タケオ?」
 珠紀は聞き返す。
男は黙ってうなづくと、
「君は?」
仮面の奥の目が、キラリと光った。
「珠紀…」
かすれる声を振り絞ると
「そうかぁ、珠紀かぁ」
男は口の中で、繰り返す。
「君には、気の毒だけれど、しばらくここにいてもらうよ。
 お仲間が、動き出したようだしな」
そう言うと、立ち上がり、壁かと思っていた額縁の辺りを、ぐぃっと押した。
 すると…絵が少しずれて、もう1つ、部屋があらわれる。
「別に、監視するつもりはなかったんだけど…
 ここを守るのに、丁度いいんだ」
男はぶすっとした口調で言うと、チラリとモニター画面を見つめる。
(えっ、なに?この部屋…まるで監視ルーム?)

 チラリと壁越しに見えたのは、おびただしい数の液晶画面だった。
珠紀は「えっ」と思わず固まる。
そうして体を固くして、引きつった顔で、男を見た。
「やっぱり…そうだよな」
そう言うと、武雄はヘラリと笑って、壁の1画を押すと
再びきしむ音がして、元に戻る。

「あなたは、一体…何者なんですか?」
声を震わせて聞くと、武雄はニヤリと笑い
「何って…別に、ただの管理人だ」と言った。
やっぱりそうかぁ~
珠紀はガッカリする。
なぜならこれ以上、詳しい話をしてくれないのだ。
「あなたは、なんのために、こんなことを?」
それでも聞かずには、いられない。
すると男はキッと目付きを鋭くさせると
「それは、君たちのせいだ!」と吐き捨てるように言った。


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