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ソータローのこと…119

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「あの時のキミの心は、半分壊れていた。
 自分の大好きなお姉さんが…目の前で、倒れていたからなぁ~」
 宗太郎の思考が、ピタッと止まる。
(先生は、何を言っているのだろう?)
「姉さん?姉さんって…だれ?」
 さっきまで、自分の大切な姉さんのことを話していたので、清子は
面食らって、宗太郎を見返す。
「そう、そうよ。
 確か、ソータローは、一人っ子よ」
複雑な気分で、清子は先生に向かって言い返す。
「なんだ、そこからか?」
なぜか先生は、少しも動揺することなく、宗太郎の方を向く。
「そうだ。確かに、彼は一人っ子だ。
 だが…姉と慕っている人がいた」
先生の口から、その言葉が飛び出した。
それは今まで、誰も触れることのなかった、パンドラの箱にこれから
手をかける、というような…そんな気がする。
(でも、だからといって…)
「何なのよ、それ!」
ご都合主義の、出来過ぎた漫画のような展開だ。
清子は思わず、先生に向かって、声を上げる。

 だが、先生はいたって冷静な顔をして、
「時に、古屋敷君。
 あの部屋で、君は何を見た?」
あらたまった口調で、宗太郎に尋ねる。
「あの部屋?」
 何のことだ?
宗太郎は、ポカンとした顔になった。
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