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ソータローのこと…111

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「何だよ、お前たち!
 せっかくリョウのことを、かばってやったのに」
 オジサンは憎々し気に、神林君のことをジロリと目をやる。
「はっ?」
「何よ、自分の身内でしょ?」
宗太郎と清子は、神林君をかばうように前に立つ。
神林君は二人の肩に、両手をポンと置くと、
「いいんだ」
なぜか、言い返そうとはしない。
静かに唇を噛みしめて、下を向いている。
「ねぇ、なんで?
 言いたいことがあるのなら、言いなさいよ」
いつになく清子は、熱い口調で言い返す。
「いや、別に…」
だがガンとして、口を割ろうとはしない。
そんな神林君を目にすると、清子は
「もう!」
じれったそうに、足を踏み鳴らす。

「なんだ、リョウ…
 このお嬢さんに、自分の知っていることを、話してやりなよ」
 あおるようにして、オジサンはニヤニヤとしている。
神林君は悔しそうに、オジサンをにらみつけると、
「ボクが悪いんだ」
ボソッとつぶやく。
「なんで?」
「ボクが…キミたちを巻き込んだんだ」
「どうして?」
「あの時も…今も…だ」
ボソリとそれだけをつぶやくと、彼は再び、口を閉ざした。
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