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ソータローのこと…92

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(なんだぁ~緊張して、ソンした)
 宗太郎は、ホッと胸をなでおろす。
だが…まだ、油断は禁物だ。
「どうして、それを?」
 うかがうようにして、どうにか声を出す。
(声が震えているの…気が付いたか?)
宗太郎は、気になるけれども。
「あぁ~だって、その制服、あそこの高校のだろ?」
男はまっすぐに、学校の方向を指し示すので、宗太郎は安心して、
ストンと腰をおとす。

「何だって、キミたち…こんな所にいるんだ?」
 宗太郎たちが、神林君の同級生だからといって、男は気を許した
わけではなさそうだ。
「あの…私たち、リョウ君に会いに来たんです」
気をきかせて、清子が一歩足を踏み出す。
心臓バクバクの宗太郎と比べて、清子の方が、度胸があるのだろう。
(清子…無茶をするなよ)
ハラハラしながら、宗太郎は見守る。
子供の頃は、清子がいつも、自分をかばってくれていたことを思い出す。
(変わっていないなぁ)
感心するけれど、それも時と場合によるなぁ~と、宗太郎はさらに
警戒している。

「そうかぁ~
 アイツは、外に出て行ったぞ」
すれ違ったのか、男は二人にそう告げる。
すると清子は、目一杯、愛想笑いを浮かべると、
「そうなんです。
 ちょっと、家の中で待っててくれ、と言われて」
にこやかに、そう答えた。
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