上 下
110 / 161
   110

ソータローのこと…89

しおりを挟む
 何だ?
 ずいぶん、思わせぶりだなぁ~
(そんなことをして、こちらをビビらせるつもりか?)
のんきに宗太郎は、そんなことを思いながら、神林君を見る。
やけに、芝居がかっているのだ。
(まさか…本当に、誰かいるのか?ユーレイ以外で?)

 宗太郎もつられて、辺りを見回す。
いるとしたら…先生?
それとも、委員長か?
のんきにかまえていると…
ギィ~
かすかに、床がきしむ音がして、誰かが息をひそめて、近づいて
来るのが聞こえてきた。
 ひっ!
清子が、声をもらす。
「しぃ~っ!」
神林君が、唇に指を当てる。
すぐに二人を隠すようにして、そっと扉の陰に隠れる。
とても慣れた仕草だ。
もしかしたら、何か思い当たることでも、あるのだろうか?
静寂が続く。
何の音も、聞こえてはこない。
もしかして…さっきの足音は、気のせいなのか?
宗太郎は神林君に向かって、声をかけようとする。

 だが神林君は、険しい表情のまま頭を振り、もっと下がるように…と、
手で合図をする。
蒼ざめた顔をして、清子がキュッと、宗太郎の腰の辺りにしがみつく。
(あっ)
思わず声が漏れそうになって、ハッと息をのんだ。
 とてつもなく、長い時が流れたような気がするが…
おそらくは、ほんの数分間のことだったのだろう。
相手も警戒しているのか、しばらくの沈黙の後、ようやくミシッと
床が鳴る音がした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...