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ソータローのこと…82

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「それは、違う!」
 神林君が、急に清子を黙らせようとさえぎる。
「なに?」
神林君の凄まじい勢いに、一瞬清子は圧倒される。
もちろん、宗太郎もだ。
「ソータローは、何も悪くない。
 あれは、単なる偶然なんだ」
ポツリとそう言うと、
「悪いのは、全部大人たちだ」
それだけつぶやくと、クルリと背を向ける。
 清子はチラリと、宗太郎の方を向くと、すぐに神林君に近付く。
「ねぇ~何があったの?
 少しでいいから、話してくれない?」
ご機嫌を取るように言う。

 明らかに、神林君の様子は普通ではない。
それは、宗太郎にもすぐにわかった。
清子が神林君の背に手を置くと、下からのぞき込んでいる。
「いや、君たちは全く関係ないんだ…
 これは、ボクの家の問題だから」
なぜかとても、言いにくそうにする。
「何よ、水くさいわねぇ」
ポンと清子は、彼の背中を叩く。
「男でしょ!
 メソメソしないで、洗いざらいしゃべっちゃいなさいよぉ!」
バンバンと、背中を叩いた。
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