御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…８１

「おい、どうしたんだ？」
　ようやく神林君が、こちらに戻って来る。
二人の気まずい空気に、早速気づいたようだ。
「いや、別に…」
おそらく神林君も、清子と同じ思いなのだろう。
宗太郎は何だか、申し訳ない気持ちになる。
「清子もさぁ～そんなに、ソータローを責めるなよぉ。
　ソータローには、ソータローなりに、色々あったんだろうからさぁ」
のんびりとした口調で、神林君は清子に言う。
「色々って、なによ！」
　そう言いかけた時、清子の目が神林君の顔をとらえる。
「リョウ君も…やっぱり何か、あったの？」
ふいに宗太郎への矛先をおさめて、神林君の顔をのぞき込んだ。

「いきなり、何を言い出すんだ」
　清子を避けるように、神林君はスッと目をそらす。
「あっ、やっぱりそうなんだ」
清子は一人、納得すると、
「人には、突っついたらいけないこともあるのよ」
宗太郎に向かって、そう言い切る。
　何を強気で、そんなことを言うのだろう？
宗太郎は、頭をひねる。
清子のご機嫌を損ねるようなこと、言っただろうか？
（やっぱり、キヨコは、何を考えているのか、わからないなぁ）
宗太郎は黙り込む。
それを、納得したと思ったのか…
さらに清子は、ひと言付け足す。
「あのね！
　ソータローは、リョウ君の代わりに助かったのよ」
いきなり大きな声でそう言った。