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ソータローのこと…79

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「結局…おじいさんの大切なものが何なのか…わからなかったなぁ」
 宗太郎は、ボヤくようにポツンとつぶやく。
だが清子は、
「私は、何となく、わかったような気がする」
思わせぶりに、そう言う。
「でも…だからといって、許されることじゃあないけど」
まだ怒っている。
「何をプリプリしてるんだよぉ」
女の子の気持ちが、どうもよくわからない。
宗太郎は腫れ物を扱うように、彼女を見る。
「ま、気にしなさんな」
ポンポンと、やけに気安く、神林君が宗太郎の背中を叩く。
(何だよぉ~急に。なれなれしいなぁ)
やっぱり神林君のことが、よくわからない宗太郎だ。

「あのおじいさん…まだ、何か隠しているわねぇ」
 清子がボソッとつぶやく。
「やけに、こだわるわねぇ」
老人を寝かしつけた神林君をよそに、宗太郎はヘラヘラしながら、
清子に話しかける。
「こだわるって…当たり前のことでしょ」
 自分のことなんだから!
「お気楽なソータローとは、違うのよ」
今度は、やけに突っかかった言い方をする。
「え~っ、なんだよ、急に!」
なぜか、自分にお鉢が回ってきた…
ヤブヘビだなぁ~
宗太郎は、首を引っ込める。
「ソータローは、いいわね!
 都合よく、何にも覚えていないんだから」
なぜか悔しそうに、清子が言う。
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