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ソータローのこと…32

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「あっ!」
 いきなり清子が、声を上げる。
「ソータロー、あんた、私がビビるのを面白がっているんでしょ」
フン!とそっぽを向く。
だが、すぐに思い直したようで、
「ここ、学校帰りに、よく集まったよねぇ~
 お菓子とか、本とか、宿題を持ち寄って、たまり場にしていたよねぇ」
懐かしそうに、部屋の中を見回す。
「ここで?」
こんな、ごちゃごちゃとした物置で?
きれいとは言いがたい、狭い部屋で?

 だが清子の言う通り、居心地はそう悪くはない。
穴蔵にいるような感じか?
宗太郎には、この部屋のすべてが、物珍しい。
ガラクタだらけのこの部屋で、何をしたというのだろう?
何が入っているのか、わからないような木箱や、
古くてカビがはえたような家具や、バネの飛び出た椅子や、お掃除道具や、
何に使うのかわからないような道具などが、棚に突っ込まれたり、
一緒くたに、木箱に突っ込まれたりしている。
おそらくは神林君も、途中であきらめて、そのままにしたのだろうか?
「そうよ、この先に確か…地下室につながる入り口があったはずよ」
きっぱりと清子が言う。
「地下室が?こんな掘っ立て小屋に?」
嘘だろ?
宗太郎は、ケラケラと笑った。
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