御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…２１

　そういえば、宗太郎の記憶の中では、リョウくんに関する情報が、
まったく存在しない。
「あら？ソータローは、覚えていないの？」
清子が驚いた顔で、宗太郎の顔をのぞき込む。
「あの子…学校には来てなかったでしょ？
　少なくとも、うちの学校には！」
キッパリと言い切る、清子の言葉を聞いていても、宗太郎には全く
ピンとはこなかった。
ポカンとする宗太郎を見て、清子は「あぁ～」と、一人納得している。
「そっかぁ～ソータローはあの頃、学校を休んでいたもんねぇ」
しみじみとした口調で、そう言う。

　みんなの言う『あの時』って…
一体、どんな時なのだろう？
宗太郎はまたも、ボンヤリとする。
宗太郎の表情を見て取ると、清子はあれっとした顔をする。
「まさか…その時の記憶も？」
ないの、と聞こうとして、宗太郎が浮かない顔をしていることに、清子は
気が付く。
「ごめん…余計なことを、思い出させちゃったよね」
　ホント、無神経でゴメン…
ハッとして、口をつぐむ清子を見ると、
「そうじゃないんだ」
宗太郎はなぜか、あわてて否定をする。
「そうじゃなくて、あの頃、何があったのか、知りたいんだ」