御手洗さんの言うことには…

35

ソータローのこと…14

「清子は、どう思う？」　
　何となく宗太郎は聞いてみたい、と思う。
「何が？」
自分で話を振っておいて、もうすっかり忘れてしまったように、
清子はケロッとした顏をする。
「神林君のことだよ」
「あっ、リョウくん？」
清子にリョウくんと言われて、宗太郎の胸がざわめく。
「アイツ…ホントに、リョウくんなのかなぁ」
思わずポロッとそう言うと、清子はあら、という顔をして、
「あっ、それはたぶん、そうだと思うわよ」
キッパリとそう言い切る。
「えっ、そうなの？」
その割りには、学校では、まるで他人を見るような目で、見るんだけどなぁ～
宗太郎は、今朝のことを思い出して、憮然とする。

「あら、気になるの？」
　清子は面白そうに、にぃっと笑う。
「そんなに気になるんなら、本人に聞けばいいのに」
あっさりとそう言う。
「それが出来たら、苦労はしないよぉ」
何しろアイツは、すぐにいなくなるからなぁ～
ボソッとつぶやく。
「何よ、それ」
清子はケラケラと笑う。
「そんな…ユーレイみたいに」
大げさねぇ～
清子は笑いながら、宗太郎をからかう目つきで、じぃっと見つめる。
「笑い事じゃあないんだよ」
実物を見れば、すぐにわかるよ、と宗太郎は思う。
「それなら清子が、本人を見てくれよ」
ついポロッと口走ると、
「あっ、それ、いいわね。
　首実験というヤツね！」
思いの外、清子がのってきた。

　物好きなヤツめ！
　首実験だって？
何だか、意味が違うような気がするけれども。
「おまえ、テレビの見過ぎだぞ」
ブスッとして、そう言い返すけれど…
「じゃあ、また今度ね」
　楽しみだなぁ～
まるで清子がスキップしそうな様子に、宗太郎は呆れる。