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ソータローのこと…6

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 いきなり宗太郎に、身体を押さえ付けられて、さすがの清子も
おとなしくなる。
「ちょ、ちょっと、ソータロー…」
 まさか、ソータロー、こんな時に何を考えているの?
だが宗太郎は、険しい表情を浮かべたまま、
「静かに」
そう言うので、しかたなく清子は、その場にしゃがみ込む。
(男の子って、探偵ごっこが好きなのかなぁ?)
内心、これから何をするつもりなのか、ドキドキものなのだが…
何だか、子供の頃に戻ったような気がして、ちょっぴりワクワクしていた。

「アイツだ」
 小さく宗太郎がつぶやく。
「アイツ?」
清子は、押さえつけられた頭をそっと上げて、通り過ぎる人物を、
もっとよく見ようとがんばる。
チラッと見たその顔は…どこかで見たような?
「神林君だ」
宗太郎は、清子にささやく。
「神林君?」
清子は、オウム返しにつぶやくと、
「あの子、どこかで見たことがあるのかも」
もう一度、確かめたい、と思う。
だが、宗太郎はかたくなに、清子はまだ押さえつけられているので、
それもかなわない。

(何なのよ、一体)
 いい加減、放してよ。
 まさか、隠れないといけないこと?
清子はちょっと、面白くない。
「それって、誰よ」
どうにか宗太郎の手から、逃れると、清子はそっと立ち上がる。
「あっ、ちょっと」
 見つかる!
慌てる宗太郎を見ると、自分ばかりズルいぞ、と思う。
「だから、転校生だよ」
 わかんないヤツだなぁ~
宗太郎は仏頂面をして、
「あ~あ」とため息をついた。
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