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ソータローのこと…1

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(それにしても、ソータローは、何をしているのかしら?)
 あんな…何もない屋上に、何で上がったのか…
あの時清子は、宗太郎を見つけて、持っていた手鏡で合図を送ったのだ。
 何しろ宗太郎はいつも、どこかボーッとしているところがあって、
清子が見ていても、危なっかしいところがある。
(放ってはおけない…というかね)
今朝だって、偶然宗太郎が男子たちに、囲まれているところを、清子は
目にした。
(まさか…いじめ?)
そんなことはない…と思うけれども、さすがに部外者である清子が、
でしゃばる訳にもいかなかった。
(とにかく…問い詰めてみなくちゃね)
清子はそう心に決めると、例の場所へと向かう。

 もしかして…あのお化け屋敷に、宗太郎は行こうとしているのだろうか?
(あんなことが、あったのに?)
あそこは…『例の事件』があってから、大人たちにきつく、近寄らないように…
と、言われている。
 もちろん…真面目に守る子供もいるが…逆に面白がって、近寄る子が絶えない…
と聞いている。
怖いもの見たさ、とでもいうのだろうか?
(だけど、ソータローに限って、近付くはずがない)
清子は、そう信じているのだけれど…
そんな思いとは裏腹に、次第に清子の足が早くなる。
(大丈夫よ、大丈夫!
 ソータローはああ見えて、慎重派なんだもの)

 あそこは、私たち《3人》の遊び場だった。
というよりも、小学生たちの格好のたまり場、とでもいうのだろうか?
(確か…物好きなおじいさんが、いたはずなんだけど?)
あのおじいさんは、今、どうしているのだろう?
なぜか清子は、気になっていた。
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