おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

第13章 あべこべシンデレラ

２

　ボンヤリとした顏で、目をあける…
「よかった！
　なんともなかったんですね」
そう声をかけられた。
　ぼぅっとした視界が、やがて次第に、クリアに見えてくる。
そして、すぐ目の前に、人の顏がでのぞき込んでいる。
だが、自分を揺さぶっていたのは、まったく見も知らぬ人だ。
そこにいたのは…ちょっと古風な装いをした、だけどまだ
見覚えのある、少し年配の女性と、若い女性の2人だった。
驚いて近寄って来た、という風情だ。


「大丈夫ですか？
　まだ動かないで、そのままじぃっとして下さい」
　丁度体を起こそうと身じろぎしているところだったので、
たちまちすぐに、年上の女性の方が、彼女の肩をぐいぐいと押した。
何があったのか、よくわからない。
だが先ほどまでいた、トンネルではないのは確かだ。
まさか…あのトンネルが爆発して、自分がどこかへ飛ばされたのか？
一瞬彼女はそう思う。
タクトや、ユリカさんや、カスミさんたちは、一体どこ？
まだわけがわからずに、キョロキョロとすると…
「いきなり倒れるから、驚きましたよ」
そう声がかかった。

（えっ、どういうこと？）
　すぐには、状況が理解できない。
どうやらここが、人里離れた静かな戸外のようだ。
　目の前で、顏をのぞき込んでいるのは、10代くらいの若いお姉さんと、
どこかで見覚えのある女性だ。
（えっ？ちょっと、どういうこと？）
エラはあわてて、体を起こす。
（いたっ）
どこかで体を強く打ち付けたようで、ズキンと頭の横の部分が痛んだ。
エラは思わず「あっ」と声を上げそうになる。
この状況に似たシチュエーションが、確か過去にもあったぞ！
前にこの世界に来た時にも…何かを見たぞ！
それは一体、どういうことなのか…と、エラは考え込んでいた。