となりのソータロー

daisysacky

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第14章

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「そういえば、先生…妙なことを言っていたなぁ」
 ふいに神林君が、思い出したように言う。
「なに?」
清子が聞くと、
「いや、大したことじゃないけど…
 じいちゃんが、大切にしていたものは、何かって聞いてた」
「えっ?」
それなのか?」
「で、どう答えたの?」
清子はとても冷静な表情を浮かべて、先をうながす。
「いや、思いつかなかったから…
 この家じゃないか、って答えたよ」
「この家かぁ~」
 ずいぶん、ザックリとした答えだ。
三人はうーんと考え込む。
確かに…こんなお化けの出そうな古い家に、一人で住み続けた…
ということは、やはりそれだけ、大事にしていた、ということなのか?
「おじいさん…他にも、家があったの?」
じぃっと神林君の目を見つめて、清子は辛抱強く聞いている。
「えっ」
一瞬、神林君は口ごもると
「うん…ここには、最近来ていたらしい」と答える。

 よく考えると、不思議だ。
入院していても、おかしくはないような身体で、孫を呼び寄せてまで、
ここに住みつくメリットとは?
清子はふいに、ハッと顔を上げると、
「やっぱり何か…人に知られたくないものが、あるから?」
神林君の目を、射るように見つめる。
「ね、おじいさん…最後に、何か言ってた?」
「おい」
さすがに、そこまで聞くのは、酷だろう…
宗太郎はあわてて、清子をたしなめる。
神林君は宗太郎を見ると、フッと口元を緩める。
「いい、大丈夫だよ」
おまえ…昔と変わらないなぁ~
わずかに、微笑んだ。
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