となりのソータロー

daisysacky

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第11章

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 ヒリヒリとした空気に、清子は心配そうに見守っている。
一歩前に出たそうにしているけれど…
身体は半分、宗太郎の背中に隠れたままだ。
「おまえのオヤジさんも、目上の人に対するマナーを、
 教えていなかったようだな」
ややムッとした声で、オジサンが言う。
(ヤバイ!これは怒らせたら、何をするかわからないぞぉ~)
確かリョウは、犯罪者だ、と言っていた。
ということは…怒らせたら、何をするかわからない…
さすがに、宗太郎は心配になり
「おい、あんまり余計なことを言うなよ」
ささやくように言う。
 だが神林君はチラリと、宗太郎を見ると、
「大丈夫だ」とうなづく。

 何か意図があって、わざとしているのだろうか?
ますます宗太郎には、わからない。
「オジサン!もしかして…じいちゃんの遺言書を探しに来たん
 じゃあないの?」
いきなり、ポンと言うので…
たちまちエサに食いつくように、オジサンは目玉をギョロリとさせると、
「どこにあるのか、知っているのか?」
低い声で、脅かすようにそう言う。
すぐ乗って来たので…神林君は「やっぱり」とつぶやくと、思いっきり
にぃっと口を横に引く。
「それはきっと…弁護士さんの所だろ?
 ボクは、そんなことまで知らないよ」
冷たくそう言う割りには、まるで知っているかのように、
思わせぶりな顔をする。
(おい、そんな顔をしていると…本当に襲われるぞ)
二人を見ていると、宗太郎の頭がチリチリと神経がひりつくような痛みを
覚える。
(なんだ?一体、何なんだ?)
イヤな予感しか、してこない…
「いいことを一つ、教えてやろうか」
オジサンは目を光らせて、にぃっと笑うと
「あのじいさんはなぁ、子供を連れて来ては、あの屋敷に閉じ込めたり
 していたんだ」
宗太郎と清子に向かって、低い声でそう言う。
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