となりのソータロー

第10章

１０

（一体、何のことだ？）
　またしても、謎めいたことを言って、煙に巻くつもりなのか？
宗太郎は、神林君の目をじぃっと見据えた。
「もう少し、わかりやすく話してくれないか？」
ついに、ハッキリとそう言う。
「へぇ～」
　思ったよりも、度胸があるんだなぁ～と、神林君は皮肉めいた
表情を浮かべると、宗太郎に向かい、肩に手を置くと
「古屋敷君…知らない方が、いいんじゃないのかぁ」
わざとからかうように言う。
　どこまで人のことを、試すんだ…と、宗太郎は少しモヤッとすると、
「キミのおじいさんが…かかわっているんだろ？」
思わず彼に向かって、そう言い放つ。
「へぇ～」
神林君は、さらに驚いた顔をする。

「少しは…思い出したか？」
　何でそんなことを、言われないといけないんだ？
宗太郎は、少しムッとする。
何をそんなに…確かめるんだ？
どうも、釈然とはしないのだ。
「いや」
あいまいな表情で、頭を振る。
「ただ…」
ポツンと下を向く。
「ただ？」
神林君は、次にくる言葉を待っている。
「ただ…不思議な部屋に、閉じ込められて…」
宗太郎はゆっくりと、その時のことを思い浮かべる。
「この前と同じように、何色が好きか、と聞かれたんだ」
　あれは…何だったんだろう？
まるで、夢の中の出来事のようだ…