となりのソータロー

第８章

５０

「そんなの！また、購買部で買うさ！」
　そう言うと…
「これでもダメなら、また考えるさ！」と言い、
「よし！」
声を張り上げて、わずかに開いたすき間に、指を突っ込んだ。

　大胆な宗太郎の行動に、清子と神林くんの視線が集まる。
「おっ」
指先に、わずかに手ごたえを感じる。
右に少し引いてから、ぐぃっとそれを押し下げて、
さらに横にずらすと…
カクン
カクン
カクン…
中で、小さな音が聞こえる。
「やった！」
まさか適当に動かしたのが、うまくはまるとは！
「ソータロー、すごい！」
思わず清子が、声を上げる。
（だろ？）
清子の賞賛の声に、気をよくするのだが…
「まだ、これからだよ」
カギの解除が、うまくいったようだが、まだ次の難問が残されている。

「たぶん、これで開くはず」
　宗太郎は、そう宣言すると…
今度はググっと力を入れながら、引き戸のように開こうとする。
今度は扉の向こうに、小さな扉が現れた。
「え～っ、なんだよぉ」
宗太郎が口をとがらせる。
また、扉が？
　だが、それを見た神林くんが、
「うわぁ～ソータローってば、天才！」
わざとらしく聞こえるほど、大げさなジェスチャーで褒めそやした。