となりのソータロー

第８章

３５

（一体、何を考えているんだ？）
　そんなに…自分たちをからかって、楽しいのだろうか？
（ゆがんでいる）
そう思うのだが…
清子はまっすぐに手を突き出し、神林君に催促する。
彼はゆっくりと、老人の近くの棚に近付くと、その引き出しの
すき間に、手を差し込む。
（へっ？）
いつの間に…そんな所を、探していたのか？
（うかつだ…まったく気づかなかった）
　ベリベリ…と、何かをはがす音がして、よく見る茶色のガムテープを
手に取って、こちらを向く。
清子は眉をしかめて、
「いいから、テープをはがしてよ」
すぐに声が飛ぶ。
　もはや、誰がリーダーシップを取っているのか、わからなくなる。


「はいはい」
　ニヤニヤしながら、彼はその場の雰囲気を楽しむように…
ゆっくりとテープをはがすと、茶封筒が現れる。
「あっ」
宗太郎と清子は、吸い寄せられるようにして、その封筒に注目する。
「ほら！」
自慢するように、わざと高く掲げると、ベリッ…とその封筒を引きちぎる。
「あっ」
やけに得意そうに、見せるので…
すべて仕組まれたウソなのではないか…と、宗太郎は疑う。
「マジか？」
（まさか…ヤラセとかじゃあないよな？）
タイミングが良すぎるのでは…と疑った。