となりのソータロー

daisysacky

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第8章

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「えっ?」
 なんだって?
 一体、どういうこと?
いきなり『祖父』というワードを耳にして、清子と宗太郎は、
顔を見合わせる。
「だって…遺産相続がどうとか、言ってたじゃないか」
思わず宗太郎が、そう言うと…
アハハ!
楽しそうに、神林君が笑う。
「あっ、そうかぁ~
 死んだと思っていたんだぁ~」
でも、会わせると言っただろ?
それは想定内だったのか、神林君はニヤリと笑う。
「えっ?だって、そうだろ?
 普通は、そう思うだろ?」
宗太郎は思いきって、彼のおじいさんがいる、というベッドの
方を振り向く。

 ベッドの上に横たわるその人は…
まるで蠟人形のように、ピクリともせずに、こんこんと眠っている。
これを人だが、と言われても、おそらく違和感がないだろう。
「何だって、こんな所に?」
まるでこれだと、口に出しては言えないけれど…監禁している
みたいじゃないか。
宗太郎は思わず神林君のことをにらみつける。
 だが、そんな視線などものともせずに、神林君は平然とした顔で、
「いわゆる、在宅介護、というやつだな」
淡々とそう言う。
「ちょっと!こんなトコ…
 病室には、不向きなんじゃあないの?」
たまりかねて、清子が口をはさむ。
「お医者さんは?
 ちゃんと、診てもらっているの?
 こんな…」
絶句している清子の言うことに、宗太郎も大きくうなづく。
「そう思うだろ?
 でも本人が…それを望んだんだ」
彼はゆっくりと、老人の眠るベッドに近付いた。
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