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第6章
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「ソータロー、名探偵になれるわよ」
「ほめ過ぎだよ」
「いや、そうだって!」
興奮したように、清子は両手をグッと握って、宗太郎を見る。
宗太郎が、清子につかまれた手を、ズボンでそっとぬぐったことなど、
清子は気づいてはいないようだ。
「しっ!」
何者かの視線を感じて、宗太郎はあわてて、清子に手で合図をする。
「なに?」
「誰か…見てる」
「誰が?」
何で驚かすように、言うのよぉ~
清子はヘラヘラと笑う。
「たぶん…アイツだ」
物置小屋には、わずかに明り取りの窓が開いていて、割れたガラスの
向こうから、何者かがうかがっているような、視線を感じる。
「まさか!」
今度こそ、清子はケラケラと笑う。
「ソータローってば!マンガの読みすぎ~」
まさか、探偵ごっこでも、しているつもり?
冷やかすように、下から清子が見上げてくる。
ミシッ
床が鳴る音がする。
「なんだ?」
宗太郎が振り向くと、清子は宗太郎の背中をポンと叩き
「気のせいよぉ~
だって、ここ、古いんでしょ?」
まさか、ユウレイとか?
清子は案外、心臓が強いようだ。
「そうかなぁ」
宗太郎は、何だか不満だ。
自分は耳がいいはずなのになぁ~
おかしい…
どうして清子は、何とも思わないのだろう?
(まさかとは思うけれど…もしかして、ボクは、ビビッているのか?)
自分では、自覚がないのだが?
にぃっと、こちらを見ている清子の顔を、宗太郎は見返した。
「ほめ過ぎだよ」
「いや、そうだって!」
興奮したように、清子は両手をグッと握って、宗太郎を見る。
宗太郎が、清子につかまれた手を、ズボンでそっとぬぐったことなど、
清子は気づいてはいないようだ。
「しっ!」
何者かの視線を感じて、宗太郎はあわてて、清子に手で合図をする。
「なに?」
「誰か…見てる」
「誰が?」
何で驚かすように、言うのよぉ~
清子はヘラヘラと笑う。
「たぶん…アイツだ」
物置小屋には、わずかに明り取りの窓が開いていて、割れたガラスの
向こうから、何者かがうかがっているような、視線を感じる。
「まさか!」
今度こそ、清子はケラケラと笑う。
「ソータローってば!マンガの読みすぎ~」
まさか、探偵ごっこでも、しているつもり?
冷やかすように、下から清子が見上げてくる。
ミシッ
床が鳴る音がする。
「なんだ?」
宗太郎が振り向くと、清子は宗太郎の背中をポンと叩き
「気のせいよぉ~
だって、ここ、古いんでしょ?」
まさか、ユウレイとか?
清子は案外、心臓が強いようだ。
「そうかなぁ」
宗太郎は、何だか不満だ。
自分は耳がいいはずなのになぁ~
おかしい…
どうして清子は、何とも思わないのだろう?
(まさかとは思うけれど…もしかして、ボクは、ビビッているのか?)
自分では、自覚がないのだが?
にぃっと、こちらを見ている清子の顔を、宗太郎は見返した。
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