となりのソータロー

daisysacky

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第3章

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 引っ越しの日…
「キヨちゃーん!」
ちぎれるほど、手を振ったあの日のことも…
いきなり父さんが、帰って来なくなったのも、この頃のことだった。
すると…ふいに、カタカタと何かが揺れ動く気がする。
(思い出してはいけない…)
そう、誰かの声が聞こえる。
「キヨちゃんと…この神社で遊んだ…」
ポツンと宗太郎が言う。
「そうそう!思い出した?」
まるで、宗太郎を揺さぶるようにして、清子は彼の腕をつかむ。
「あの森の奥には…」
つぶやく彼を見つめると
「そう、森の奥には?」
その続きに期待するように、辛抱強く、宗太郎の次の言葉を待っている。
そんな清子に気が付くと、ピタリ…と彼の思考が止まる。
「わかんないや」
ふぃっと目をそらす。

「何よ、それ!」
 もう!
憤然として、清子は頬を膨らませる。
「あんなに、遊んだのに…」
まだ、あきらめきれないようだ。
「じゃあ、あそこ!行ってみる?」
強引に、宗太郎の腕を引っ張る。
(えっ)
思いがけない強い力で、グイグイと清子は、宗太郎の腕を引っ張る。
「ちょっとぉ」
ボクは行く、と言っていないけどなぁ…
逆に宗太郎は、戸惑っている。
(何で、そこまで…こだわるんだ?)
なぜだか、宗太郎の記憶は、この時期の部分が曖昧なのだ。
今までは、特に不自由ではなかったので、さして気にはしていなかった
けれども。
だけども、よく考えると、何かおかしい…
宗太郎は、それが何なのか、知りたいと思った。
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